第41話

破壊って.°
26,288
2020/07/07 11:09
爆豪「お"ぃ、大丈夫なんか」



あなた「爆豪くんっ!うん大分良くなった!ありがとうね……!」




真後ろに座る爆豪くんを見上げてはにかむと、声をかけたのを後悔したのかチッと舌を鳴らした。



素直じゃないなぁ……。



でも、異変に気がついて保健室に連れてってくれて……爆豪くんはやっぱり、優しい人だ。




爆豪「存分にブッ殺す」




……多分。




ズシッ




あなた「……私の頭は肘置きじゃないんだけど?」




腕を組んで乗り掛かってきたので頭を揺らすと、「てめぇ次試合だろ。はよ行けや」とフル無視。




あなた「……見ときたいの。轟くんが戦ってるとこ、まだちゃんと見たことない」




爆豪「……チッ……また半分野郎かよ




あなた「……?なんか、轟くんイライラしてない?」





爆豪「知るか」





頭から手を離してのけぞり、さも興味なさそうに足を組む。



……なんか、空気が重い。





プレゼントマイク〈ready……start‼︎‼︎〉



開始早々、瀬呂くんのテープが轟くんの体に巻きついて台の外へと引っ張る。



無抵抗な轟くんの体はそのまま場外へ_____。






あなた「_______っ、」





轟くんの足元から氷がチラついたと思った瞬間、一気に目の前まで刺々しい氷の塊が押し迫った。





ドゴォォッ!




反射的に向かってきた氷を跳ね除けて、下を見る。




瀬呂くんの体は氷に埋もれて……否、会場の半分が轟くんの氷で支配された。





あなた「…………、」





ゴクリと、自分の喉が鳴ったのが分かった。




瀬呂くんのやっとの降参に、会場からはどこからともなくドンマイコールが発せられた。






……次は、私だ。




プレゼントマイク〈everybody‼︎大変長らくお待たせしたぜぇぇ!第二試合で氷漬けになったステージもっ、ようやく乾いて次の対決っ!!〉




控室から通じている通路を通って、会場に足を踏み入れた。





プレゼントマイク〈まずはsparking killing boy!!ヒーロー科、上鳴電気ぃ!!〉




あなた「すぅ……はぁ……




呼吸を整えて、一歩一歩歩く。




プレゼントマイク〈versus‼︎‼︎障害物競争、騎馬戦と驚かされまくりのtroublemaker‼︎A組転入生!百々ぉぉぉっ、あなた〜っ!!〉



相澤〈頼むから会場破壊するのだけはやめてくれ〉





……トラブルメーカーってなにさ!


会場破壊ってなにさぁぁぁあ!!!





パキパキと指の骨を鳴らして、台に上がる。



踵で何回か地面を踏んで、強度を確かめる。




……壊すなって言われたら壊したくなるよね⭐︎





上鳴「よぉあなた……。お前の実力はちゃんと知ってるよ!でも残念、勝つのは俺だ!!これ終わったら飯とかどうよ……俺でよけりゃ慰めるよぉ?」



あなた「……上鳴くん、私の上鳴くんへの第一印象教えてあげようか」




プレゼントマイク「ready……」




上鳴「おうなんだよっ」




プレゼントマイク「startぉぉぉっ!!!」




一瞬で、上鳴くんの体からチリチリと電気が目に見える。




あなた「……“チャラ男”!!」



上鳴「るっせぇ無差別放電!!130万ボルトォォォォ!!」




瞬く稲妻が走ってくる。




スッ……





あなた「_________相澤せんせ、ごめん!」





ドゴォォォォォォォッ!!!!!




しゃがんで左に拳を作り、地面に突き刺す。



地割れして持ち上がったコンクリの後ろに隠れて、電気を免れた。



多少の電撃は喰らったけど、支障はない程度。




軽い回復で済んで、放電が止まった瞬間に飛び出した。





_________って、。






あなた「……上鳴、くん…………?」




上鳴「ほへっ……ほぁ……!?」






……え、なんか、表情筋自粛しまくってない?



飛びかかろうと思ったけど流石に気が引けて、目の前に着地すると「ほぅわっ!?」と後退りする。




うーん……研究不足だったなぁ。




あなた「……歯ぁ食いしばって」



上鳴「ほぁ_________、」



 
トンッ




真っ黄色の髪が開けた額に軽く指2本で触れると、上鳴くんの足は簡単に地面から離れ、平行移動して場外へ飛んでいった。





プレゼントマイク〈赤子の手をひねるかのように圧勝!!そしてイレイザーっフラグ回収お疲れ様ぁぁっ!〉


相澤〈ちゃっかり破壊しやがって……〉




ミッドナイト「二回戦進出!!百々さんっ!!」





「「「……」」」





……あれ?




会場が一瞬静まり返って、私が首を傾げたと同時に一気に盛り上がった。





あなた「うぃ〜っ、どもどもっ」




ヒラヒラっと手を振ってから、運ばれていく上鳴くんに目をやった。



……回復してあげようかと思ったけど。





上鳴「うぇーい、うぇーい、」




なんか変な顔で変な動きしてるし、触りたくないや。

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