〜数日前〜
相澤「それから百々ですが……自身の身を犠牲にしすぎる戦闘スタイルが目に付きます。それと、できるだけ他人に対しての"全回復"を使って欲しくない。クラスが21人と奇数であることも含めて、コイツは単体で試験を受けさせようと思っています」
プレゼントマイク「異議なーし。……で、誰が相手すんだ?」
相澤「……ダブりますが俺が_____」
根津「提案なんだけどね」
相澤「……?」
根津「教師側として、生徒を相手してもらうのはどうかな……?あの子は戦闘慣れしているが、それは彼女の標的_____アギと戦うことのみだ。アギに関しては毎回命を絶たせているから、他のヴィランとの戦闘時に必要な手加減というものを知ってもらうんだよ」
相澤「……ですが、生徒が怪我をしては____」
根津「ハンデは勿論彼女にも課そう。理解力の良さと適応能力が共に優れている事、君なら分かるだろ……?」
相澤「……分かりました。ではパワー型の切島、佐藤ペアとの戦闘で、接近戦での手加減を身につけてもらうという事で」
〜現在〜
根津「試験の制限時間は30分!君たちの目的は、このハンドカフスを教師に付ける、or どちらか1人がステージから脱出することさっ」
脱出……?
それでもいいの?
オールマイト「「でもこんなルール逃げの一択じゃね?」って思っちゃいますよね〜。そこで私達、サポート科にこんなの作ってもらいましたぁ〜」
シュルルル、
あなた「ほあああああ!?」
突然相澤先生の包帯が伸びてきて、引きずられる。
先生達の所に連れて行かれると、ガシャンッ という音とともに足に何かを付けられた。
あなた「何こr_______って重!!!」
オールマイト「超圧縮重りぃ〜っ。体重の約半分の重量を装着する。ハンデってやつさ。古典だが、動きづらいし、体力は削られる……っ、重」
ガシャンッ
あなた「ちょお、まじ重いってこれ!私体重こんなんじゃないもん!」
相澤「引っ張ったら大体分かる。お前の体重は4じゅ___もごごっ、」
あなた「え!?なに普通にカミングアウトしようとしてるんですか狂ってるんですか頭おかしいんですかセクハラで訴えますからね!?」
焦って口を塞いでから、首元の包帯を解いて口元に巻く。
相澤「はへほ」
……何はともあれ、ハンデ付きで生徒と1対2……気張らないと。
相澤「佐藤、切島は準備しろ。お前もな、百々。それから______」
あなた「?」
相澤先生は去り際、私の耳元で一つ言葉を置いてから、室内に入って行った。
あなた「_________なるほど、ね」
とりあえず行くか。
切島𝓈𝒾𝒹𝑒.°
〈佐藤、切島チーム。演習試験。ready go 〉
切島「この試験さ、逃げるより捕まえた方が当然点数高くなるよな?」
一応出口の方に向かいながら尋ねると、佐藤も「と思うぜ」と同調。
あなたの個性はスゲェし強いのも知ってっけど……。
切島「パワー系2人相手で近距離戦闘なら、勝ち目あるんじゃねぇか!?」
佐藤「だなっ」
俺らだけ先生相手じゃないのはちょっと気になるけど、これはチャンスだ!
他より断然楽に_____________。
トンッ
切島「!?」
突然真横に感じた気配。
佐藤は瞬時に砂糖を取り出し、俺も硬化を始めた。
しかしそれも間に合わぬうちに、俺は右腕、佐藤は左腕を掴まれた。
グイッ
佐藤「!!!?______うわあぁああぁぁぁ!」
切島「うっ……そだろぉぉぁ!?」
一気に全身が後方に持っていかれ、後ろ向きに飛ばされながら視界に入ったその姿に、投げられたんだと確信した。
スタート地点よりも更に後ろに飛ばされた俺たちはようやく起き上がり、真っ直ぐの道なのにもう姿が見えないあなたを探す。
佐藤はドープを始めて、俺も硬化した。
切島「やっぱ……近づけさせたくねぇんかもな!近距離に持ち込みたくないんだと思_____」
あなた「うんうんっ、どうかなっ?」
佐藤「!!?」
まただ。
気配なく横に立つあなたに、即座に佐藤が腕を振りかぶった。
俺も勢いよく殴りかかる。
あなた「よっ、と」
形だけの掛け声と共に、あなたの体は空中へと持ち上がる。
グイッ
切島「っぐぁ、」
佐藤「うぐぅ!」
間髪入れず、勢いが抑えきれずにぶつかりそうになる俺と佐藤の頭を掴んで思いっきりぶつけられた。
切島「っ……てぇ、」
あなた「近距離戦やってみるっ?」
スタッと綺麗に着地したあなたは、照れながらもデートに誘う彼女のような仕草でそう問うた。
切島「舐めやがって……!佐藤、いくぞ!!」
佐藤「おう!!」
あなた「逃げた方が賢明だと思うけどなぁ〜。だって私は今________」
殴りかかる俺たちをスッとかわし、背後に回る。
あなた「「ヴィラン役」なんだからっ!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!