第210話

包み隠して偽って.°
2,645
2022/06/16 12:00
轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°








?『______1人?焦凍くんいないの?』








爆豪とホークスと、それからあなた。



通りがかりに聞こえてきた俺の名前に立ち止まると、その3人が目に入った。





久々に見るように思えるあなたの姿に、そちらに行こうかと考えていた俺の耳に。








爆豪とホークスの言い合う声が聞こえてきた。
 








ホークス『おっかないなぁ。あなた、先行ってて。』


爆豪『おい、おい待てや!!!』











爆豪の静止の声も聞かずに立ち去ったあなた。




引き止めることが出来なかった爆豪の背中に、どこかホッとした自分がいた事に驚いた。











ホークス『あんまり無理させないであげてほしいなぁ。』


爆豪『あ"………?』


ホークス『ほら、だってさ_______、』









スッと爆豪に近付いたホークスが、その耳元で不敵な笑みを浮かべて。



微かに聞こえてきたその言葉は。











ホークス『______昨晩、結構激しかったから。』



























瀬呂『お、轟どうした?眉間に皺寄せて。』


轟『………………あぁ、』












どうしてもあの言葉の意味が理解できなくて、なぜ爆豪は怒りを露わにしていたのか解せなくて。



部屋に戻っていると、隣の部屋から出てきた瀬呂に声をかけられた。












轟『……………言葉の意味が、分かんねェんだ。』


瀬呂『言葉の意味???……轟に分かんねぇもんは俺にも分かんねぇかもなぁ。ちなみに何?』


轟『……………"昨晩、結構激しかったから"って、』


瀬呂『ちょっと待て。』











慌てた様子の瀬呂に口を塞がれて、キョロキョロと辺りを見回す。













轟『……?』


瀬呂『いやそれ、どう考えても…………いいや待て、誰が誰と?』


轟『……それは言えねェ、』


瀬呂『じゃ、じゃあ……!男と女が、か?』


轟『ああ、そうだ。意味分かるのか?』












目をまん丸に見開いて驚いていた瀬呂は、深く息を吐いて頭を抱えた。





いいか、それはな___________







そう言って続けた言葉の意味をやっと理解して、そして。

















意味分かんねェ焦燥に駆られていた。



















あなた「轟くんまで_______汚したくない、」














その言葉の裏に、何があるのかなんて。








分かりきっている。












轟「…………俺が望んでいると言ったら?」


あなた「と、轟くんがそれを望む理由が分かんない、」










真っ直ぐに合う目線。



コイツは、もう誰かのものになっていて。








でも経緯がどうであれ、今付き合っているのは俺だから。







でも、いつか爆豪とコイツが、互いの気持ちに気が付いた時。







俺はどうなる。












好きと、一言言えばいい。



伝えればいい。







でも俺に、そんな事をしてまだ関係を続ける事ができる可能性はないと思うから。












轟「……冗談だ。」


あなた「………………、」












倒した体を起こしてから、深呼吸をして冷静を保つ。





コイツは今、俺のことなんて見えてない。















ただ今は、少しでも長くコイツの隣にいられるために。











轟「今日居なかった分のノート写すか?」


あなた「あ…………うん、いいの?」


轟「あぁ。」














俺は絶対、気持ちを口にしてはいけない。