第205話

溢れ出た想い.°
9,126
2022/06/03 12:00
轟「お茶でいいか。」


あなた「あ、うん……!ありがとう。」







ソファーに座って、何の話だろうとキッチンに行った轟くんを待った。



待つ間、ニュースをチェックしてヴィランの動きについて確認。








轟「すまねぇ、眠いか?」


あなた「ううん。なんだか寝付けない気がするっ。」








久々の寮と、久々の皆との生活。



日常が戻ってきたんだと、しみじみ思う。










轟「前、俺に渡してきた写真。」


あなた「……、!」










隣に人1人分空けて座って、早速本題。




口にした言葉に、私の心臓はギュッと締め付けられた。










あなた「……ごめん、訳分かんなかったよね。」


轟「今日の話を聞いて理解した。ずっとお前の抱えてたもんが、だけじゃないって事も。」


あなた「……、」












そう。




私はまだ、皆に言わなければならない事があるのに。






それを言ってしまえばもう……その時が、最後になってしまうから。










轟「俺にも、言えねぇか?」


あなた「…………ごめん、」












轟くんにも、三奈ちゃんにも、いずくんにだって。




誰にも、言うことはできない。






少しの沈黙の後、もう一度謝ると。











轟「お前見てたら、ここんとこが苦しくなる。」


あなた「苦しく……?」













胸の辺りをキュッと押さえて、俯いた。





それだけ心配をかけてしまっているという事なのだろうか。










轟「なんとなく、気付いてんだ。……その上で、1つだけ話せる事、あるんじゃねぇのか。」


あなた「_______、」











何のことか、すぐに分かった。




それは、ここに戻ってきてからずっと。






ううん……それよりずぅっと前から、感じていた事だったから。










轟くんのその目は、私が奥にしまっていた言葉をぐいっと引き出して。











溢れるように、口にした。



















あなた「…………初めは、ただ守らないといけないんだって。」




















私のするべき事、ちゃんと分かっていたあの頃。




















あなた「だけど関わっていくうちに……私の中で大切になって、それで、」

















私は、














不器用なあの人が。










荒々しい口調の奥にある本当の優しさが。















もう全てを投げ出して、一緒になりたいと思えるほどに。




















あなた「私……、私、」


















ダメなのに。










こんな事、思っちゃダメなのに。










三奈ちゃんに聞かれた。







三奈ちゃんは、気付いてた。













私が、樹の存在を信じていたあの頃から。











ずっと胸に閉じ込めて、しまっていた、この気持ち。














鍵をかけて、厳重に閉じ込めて。
























だけどやっぱり、轟くんにはバレていたみたいで。















































あなた「____________爆豪くんの事が、」



















私の抱えてるものも、全部、中身見ずに一緒に背負ってくれるって言ったあの言葉とか。







自分勝手で我儘で、自己顕示欲の塊の彼が。







ずかずか私の中に入ってきて、それで……。










気持ちを全部、持っていかれそうで。










どうしようもない程に。




































あなた「好き、なの……。」


















私は、爆豪くんが好き。

プリ小説オーディオドラマ