第121話

僕らの架け橋.°
19,095
2020/09/10 13:32
あなた「……??なに〜?それ!」


芦田「え、えっと……これは、」





興味津々な顔で手に持つ水風船を覗き込んだあなたに、後ずさる。





あなた「綺麗……何これ、美味しいの!?」





あなた……それは食べ物じゃなくて、。






麗日「あなたちゃ、これは水風船って言うんよ……」



あなた「みずふーせん?……水??」







目をキラキラさせるあなたに、なんだか申し訳ない気持ちになった。


もし……もし、あなたの誕生日サプライズだって言ったら……なんて言うだろうか。


なんて……思うだろうか。






あなた「え、これで何するの!?食べるの!?」


芦戸「た、食べはしないんだけど……ほら、投げると風船が割れて中の水が飛び出すんだよ。投げて遊ぶやつで、」


あなた「へぇぇ……!あ、これ皆でするって事!?やりたい!」


芦戸「あ…………」






嬉しそうに顔を赤らめるあなた。


芦戸さんは少し戸惑ったように水風船を引いて、表情を曇らせた。






あなた「……?どーかしたの?」






不思議そうに首を傾げる。


きっとあなたは、僕たちがサプライズで計画したと知ったら純粋に喜んでくれる……はず。


それが表面上だったとしても、あなたは喜ぶんだろう。



……でもそれが、悲しい過去を彷彿させる理由になるのなら。






今日は、やめたほうがいいのかもしれない。




多分、クラス皆の心内が一致して。




だけどなんで言ったらいいのかと口ごもってしまった僕たちを見かねてか、口を開けたのは轟くんだった。








轟「お前に喜んでほしいって、芦戸達が計画したんだ」


芦戸「ちょ、轟……!」


あなた「……?私???」







心底疑問に思ったようで、多分誕生日を忘れているんだろうと思った。







轟「お前、今日誕生日だろ」


緑谷「!!!」







言っちゃうんだ……轟くん。


でも、まぁあなたははぐらかされる方が嫌だろうな。






あなた「「誕生日」……?…………、!!」








やはり忘れていたようで、目を見開いて芦田さんをバッと見る。







芦戸「あ、いや……その、ごめん」


あなた「誕生日……覚えててくれたの!?」


芦戸「え?」


あなた「嬉しい……皆に祝ってもらえるなんて、嬉しい!!!」








ほら、やっぱりあなたは……。










芦戸「あなた……無理、してない?」


あなた「え??なんで?」


芦戸「いや……だって、さ。ほら……」








言葉に詰まった芦戸さんを見て、「あー」と何やら納得したようなあなたの声。


ヘラっと笑って、芦戸さんの持つ水風船を手にした。







あなた「そんなん気遣わなくていいのに!樹には朝ちゃんと挨拶したし、私は皆に誕生日を祝って貰える事が何より……ううん。誕生日に皆と居られる事が、1番嬉しいんだぁ!」






「だから、さ!」と手に持った水風船、そして用意したいくつかのそれを一気に抱えて宙に放り投げた。



右手の人差し指をピンと立て、上に向かってサッと空を切るように動かす。






ビュンッッ!







瞬間発生した風の刃が、飛び上がった水風船に当たってパンッと弾かせる。



氷で冷やした水が雨のように僕たちに降り注ぎ、その空に薄い虹を架けた。







あなた「遊ぼう!!皆っ!」







あなたは無邪気な、子供みたいな笑顔を僕たちに向けて。



ただそれが、色んな悲しみや辛さを乗り越えた先にある物で、だこらこそあなたは僕たちよりずっと大人で強くて、敵わないなと確信した。











あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°





ひとしきり外で遊んでから、夕食の時間になった。


水風船はすぐに使い終わり、水鉄砲とかシャボン玉で遊びまくった私たちはもうヘトヘト。





なんだかんだ爆豪くんもちゃんと最後まで居てくれて、片付けを済ませて食堂へ入った。








切島「ん?なんかダンボールあるぞ」






共有スペースの机の上に置いてあるダンボールを指差した切島くんが貼り付けてある紙を覗き込む。







切島「相澤先生からだ。あなた〜ポシェット?だってよ!」


あなた「あ、そういえば!」







発目さんが作ってくれたのを、送ると言われたんだった。



開封して確認しようとすると、開けて1番に何やら見慣れないカラフルな袋が重なって置いてある。






あなた「……?何、これ」


耳郎「あ、花火じゃん」


あなた「「はなび」……?」







後ろから覗き込んできた耳郎さんが呟いて、その言葉に三奈ちゃんが嬉しそうに駆け寄ってきた。








芦戸「マジで!?え、なんでなんで!いっぱいあるし!!」







細い棒のようなものや筒みたいなのが小分けにして入っている。



はなびって……花火?



上にドーンってなるやつじゃないの……?







緑谷「わ、手持ち花火こんなにたくさん?どうしたの、これ」


あなた「あ、確かになんでこんなに……」






よく考えたらわかる事で、きっと相澤先生だ。



先生も私の誕生日覚えて置いてくれたのかな?





夕食後の楽しみが増えたねと皆で顔を見合わせて、とりあえず明日先生にお礼を言おうと頷き合った。












ありがとう。相澤先生……。





今度一緒にやろうね。








⭐︎おまけの番外編⭐︎




芦戸「あなた〜!これ!これやってみてよ!スマホでできるから!」


あなた「なにそれ……"恋愛免許証"?」


麗日「いやぁ……私食べ物に例えると"お味噌汁"らしいわぁ」


あなた「え、どゆこと」


葉隠「まぁまぁ!ほら、ちゃちゃっと終わるからさ!」


あなた「えぇ……?質問に答えればいいの?」


芦戸「そうそう!」




結果⤵︎

◆百々あなたさんのモテについてだけ言えば、性格的な強さでかなり損をしています。しっかりしすぎていて、とっつきにくいのです。
◆自覚しているかは分かりませんが、あなたさんはコミュ力のお化けです。おそらく友人知人も多いと思われますし、恋愛においては、それは嫉妬や束縛の対象になりやすいのです。あなたさんが普通に生きているだけで、相手をヘコませやすいのです。
◆マメにコミュニケーションを取って、何気ない日常やちょっとした気持ちを共有する。その大切さを、あなたさんはよく分かっています。しかし、相手も同じだとは限りません。この部分の価値観がズレている相手と付き合うと、苦労することになるでしょう。




あなた「……え、何この「やや引く」って」


芦戸「あはは!!!あなた、「キス魔」だって!!」


麗日「でっ、でもすごいよ!やっぱりモテるんだよ!」


あなた「……「無責任」で「キス魔」で「お下品」……?爆豪くんじゃあるまいし


爆豪「なんか言ったか!?あ"ぁ!!?」


あなた「べっつにぃ〜」


蛙吸「「人の痛みが分からない男」……爆豪ちゃん、気をつけたほうがいいわよ」


爆豪「なんの話だクソが!!!」







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出来心であなたちゃんぽくやってみたらわりと設定と当たってて嬉しかった(^^)




Ps.ハイキューの方の小説キャラでもやってみたので後日公開します✌️





双葉🌱🖇.

プリ小説オーディオドラマ