第132話

過度な心配性.°
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2021/03/08 12:26
あー……あ。



やっちまったな、まさか熱で倒れるなんて……。






芦戸「お、あなた!もー平気なのっ?心配したんだから〜」


あなた「ごめんね三奈ちゃん……。直したから平気だよっ」





意識がはっきりしてから全回復を使ったので、体調はもうすっかり良くなった。



みっともない……今度ちゃんと物間くん達にも謝らないと。






あなた「……ところで、さ。私いつの間に寮に……?」


芦戸「あぁ、食堂で倒れたのを轟と爆豪が運んだんだよ!医務室行ったらリカバリーガールが帰るように言って、相澤先生が連れて帰ったらしいっ」







轟くんと爆豪くんが……?


そっか、まぁ……樹がいるわけないもんね。






芦戸「それよりっ、ほんとにヘーキ?仮免近いし心配……」


あなた「大丈夫だよ大丈夫!心配してくれてありがとっ!」







気合い入れ直そう。



仮免絶対取らないと……。






一階に降りて、いずくんたちと朝の挨拶を交わす。







緑谷「あなた、もう大丈夫なの……?熱で倒れたって聞いて」


あなた「うん!ごめんね心配かけた!!」







笑いかけるとホッと表情を緩めた。


奥に轟くんが居たので、小走りで駆け寄る。






あなた「轟くんっ!」


轟「体調は?」


あなた「あ、うん。平気!」





すぐに食い気味に尋ねられて、力こぶを作って見せると「そうか」とホッとしたような顔をする。


いずくんと言い……そんなに心配してくれてたなんて。







轟「相澤先生が、今日1日休めって言ってたぞ」


あなた「え"」


轟「来たら晩飯抜きだってよ」







はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?







あなた「あり得んし!!もう平気だから行くもん!!!」


轟「だめだ。休め」


あなた「いーーや!!」






なんでそんな、ちょっと熱出たくらいで大袈裟な……。



大体仮免近いんだし、休んでる場合じゃないでしょ。





このまま話していても言いくるめられそうなので踵を返し、三奈ちゃんたちの元に戻る。







芦戸「あ、ほらあなたっ。爆豪が……」


爆豪「テメェ、体は?」


あなた「へ、もう平気……だよ?あ、爆豪くん運んでくれたんだよね、ありがとっ」


爆豪「チッ……運んだのは俺じゃねぇよ」


あなた「え?」


轟「俺が運んだ。お前ちょっと人の話聞け」


あなた「どーせ「休め」でしょ!?私もう平気だってば!相澤先生にも自分で話すし________……っ、」







なんでそんな……哀しい顔するの?


轟くんは黙り込んだ後、「……勝手にしろ」と吐き捨てて向こうへ行ってしまった。








あなた「……何よ」

















葉隠「それでねっ、流れ星見ようとしてたら急に曇ってきたから________」


あなた「えぇ〜災難っ」







朝、教室でいつも通りお喋りをしながら時間を過ごす。



今日はまたミッドナイトにお願いして特訓しよう。






バリエーション増やしていかないと……。








あなた「私トイレ行ってくる!」


芦戸「あと4分だよ、急いで〜っ」


あなた「はーい!」







廊下に出て走ってトイレに向か________








シュルルルル、






あなた「ぅ、わ!?」





突然、体に包帯が巻き付いて足を止められた。



咄嗟に個性を発動させようとしたものの、ブレーキがかかったみたいに効かない。






あなた「……相澤先生、」



相澤「轟から聞いたはずだ。お前今日は休め」



あなた「だ、だってもう平気だもん!!ほら、すっかり元気________」



相澤「百々」



あなた「っ、」







鋭い目。


目の下の濃いクマが、一層その鋭さを主張している。







相澤「________抵抗するな」






シュルルルル、




どんどん、包帯の量が増して私を拘束する。




相澤先生は一歩ずつ私に近付いて、怒るでもなく諭すでもなく。













相澤「……頼むから、言うこと聞いてくれ」

















ただ弱々しく、私の肩に顔を埋めた。

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