オールマイト「それでは行くぞ?start!!」
指さされて、慌てて手元のボタンを押した。
私の反応を見たかっただけ……?
それとも……。
あなた「_________オールマイト」
オールマイト「……なんだい?」
あなた「貴方に"そういうの"は向いてないと思う」
オールマイト「……」
人を疑い、発破をかけ、揺さぶる事は……ヒーローというものからかけ離れている行為だと思うから。
あなた「それと、私がいずくんだって言ったのは……」
スッとモニターを指差すと、オールマイトは目を見開いた。
いずくんは職場体験先で、個性の新しい使い方を学んだ。
それが彼を一気に成長させ、こうして1位を走らせている。
オールマイト「おぉ……」
素直に感動しているオールマイトを横目に見て、気づかれないように息を吐いた。
…………疑われてる、のかな?
あなた「いずくんふぁいとー!」
ピョンピョン飛び跳ねるいずくんに声を出すと、鉄パイプの方で足を滑らせ落っこちてしまった。
オールマイト「救出ありがとう!」
あなた「はいっ、おめでとー!」
瀬呂くんの首に1位のタスキをかけて、転がっているいずくんを見た。
惜しかったなぁ……。
芦戸「悔しい!!」
あなた「三奈ちゃんも速かったよ〜!」
緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°
くそ……足元気を付けないとな。
オールマイト「驚いたぜ。見違えたよ」
下を向いていた僕に、上からオールマイトが声をかけた。
オールマイト「この授業が終わったら、私の元に来なさい」
そう言って、親指をグッとたてた。
緑谷「……っはい」
オールマイト「______君に話さなければならない時が来た。私と……ワン・フォー・オールについて……そして、百々少女について」
緑谷「……!」
あなた…………?
職場体験前に言っていた、あの……?
・
なんだろう……なんか、怖いな。
更衣室で着替えながら、オールマイトのあの雰囲気を思い出していた。
嫌な予感がする……。
峰田「おい、緑谷!やべぇことが発覚した、こっちゃ来い!」
峰田くんが隣から声をかけてきて、見てみると熱中症対策のポスターが少し剥がれかけていて、そこに穴が開いていた。
峰田「見ろよこの穴ショーシャンク……!恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!隣はそうさ、分かるだろ!?女子更衣室……!!」
鼻息荒くさせる峰田くんに、飯田くんが叱る。
峰田「オイラのリトル峰田はもう立派な万歳行為だよぉぉ!!_______百々の彫刻のようなスタイルに!八百万のやおよろっぱい、芦戸の腰付き!葉隠の浮かぶ下着!麗日の麗かボディーに、蛙吸の意外おっぱぁぁぁ_______」
ブスッ、
緑谷「耳郎さんのイヤホンジャック!正確さと不意打ちの凶悪コンボが強みぃっ!」
あなた「ぷぅっ……ははは!!!峰田くんマジおもろい!!っははははは!!」
芦戸「ちょっとあなた、笑い事じゃないよ!?気づいてなかったら見られてたのあなたなんだからな!?」
あなた「プクククッ、面白さに勝るものはないって!許可許可!!」
麗日「許可しちゃダメやって!!」
上鳴「あなた……許可すんのかよ」
切島「あいつほんと笑い上戸だよなっ」
向こうから聞こえてくる元気な声に、僕達の頰が緩んだ。
『百々少女について』
……なんなんだろう、オールマイトの話って。
あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°
爆豪「お"ぃ」
あなた「……なぁに?」
放課後荷物をまとめていると、爆豪くんが机のすぐ前に立った。
芦田「ちょっと爆豪!またあなたにちょっかいかけに来たの!?敵いっこないんだから止めときn_____」
爆豪「あ"ぁ!?ちげぇわ黒目!!殺すぞ!!」
……まあ、最近は話しかける時に攻撃しかけてこなくなってるし、違うのかな?
あなた「どうかしたの?」
爆豪「てめぇ…………今日ウチ来いや」
……、
「「「「「えええぇぇぇぇ!!!!!?」」」」」
途端、まだ帰っていなかったクラスの皆の驚愕の声。
芦田「(爆豪っ、まさかまさかやっぱりあなたの事……!)」
蛙吸「……?2人は付き合ってるの?」
あなた「ない!」
あらぬ誤解を受けたので訂正すると、爆豪くんはあからさまにチッと舌を鳴らした。
爆豪「ババァがてめぇ呼べってうるせぇんだよ……!毎日毎日朝から晩までてめぇの名前出されてニヤニヤされる俺の立場になってみろや!あ"ぁ!?」
あなた「知らないよそこは!!!でも光己さんのご飯美味しいから行く!!」
「「「(行くんかい!!)」」」
轟「……」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!