第26話

基礎体力.°
31,467
2020/07/01 12:14
爆豪「オラァほくろ野郎!!俺とヤれ!!!」


あなた「……」




体育祭ではコスチュームの着用は禁じられているため体操服に着替えて、訓練場に移動した。



そしてすぐに個性を使って襲撃してきた爆豪くんを払ってから、相澤先生に振り向く。




あなた「すみません、まだ体鈍ってるんで、グラウンド借りてもいいですか?」


相澤「ここじゃダメな理由は?」


あなた「あ、単に走り込みしたいんです。基礎体力少しでも戻しとかないと……。ここで走ってたら皆の邪魔になるし」



爆豪「話を聞けぇぇぇぇ!!!」



爆豪くんのパンチを対処しながら淡々と伝えると、「必要あるのか……?」と呟いて許可してくれた。




相澤「ただ、グラウンドはこの時間普通科の生徒が使用している。ちゃんと担任に許可とってこいよ」


あなた「うぃ〜!!」


相澤「……」



シュルル……



返事をして走り出した私の体に、包帯が巻きつく。



あなた「うあああっ!?なんですか!!!?」


相澤「返事は「うぃ」じゃねぇだろ」



物凄い眼力に身が震えた。



あなた「……はい」




やっぱ怒らせたら怖いわ……ミイラみたいなのになんでこんなキレッキレなのさ。








普通科の先生は難なく許可してくれて、外周と鉄棒のみという条件付きで私をグラウンドに入れてくれた。





「見ろよあいつ……」
「あ、知ってる……。A組に転入してきた子でしょ」
「ああ、“例の”奴な」
「_________チッ」





……なんか言われてるなぁ。




そういえば、2週間くらい前に色んなクラスの生徒がA組に集まってきたってお茶子ちゃんが言ってたっけ。



敵情視察……というよりも、こりゃもう単なる憎悪だな。




気にしない気にしないっ。



靴紐を結び直して、軽くジャンプする。


まずは個性を使わずに……。




タタタタタッ



外周を18、9回走ったところでもう息切れがしてきた。


個性に切り替えて、スピードを上げる。





ダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!!




一時限目のチャイムが鳴ったところで、足を止めて鉄棒に向かう。




二時限目の中間くらいまで懸垂するかな……。





あなた「56……57……58……」




無心に体を動かしていると、やはり色々考えてしまう。



相澤先生に昨日言われた……私がUSJに戻った時、1番に庇ったのは敵である死柄木だったと。


だからそれが、私という人間を怪訝する理由となってしまっていると……。




あの時、確かにアギが攻撃をしようとしているのが雄英の人物ではなくヴィランだったと……分かっていた。



でも、私が守るべきは人間とか、ヴィランとか関係なくて……。




『咄嗟のことで、相手が誰だか判断できずに守ってしまいました。敵だったんですね……。気をつけます』



先生と警察の人にはそう言ったけど、多分また同じようにアギがヴィランを襲っていたら……私はまた、助けようとするだろう。



それは……私がここにきた理由以前に……ここでヒーローを目指す者として、理に適っているのだろうか。




あなた「78…………………」




もし……もしまた、皆の前で私がヴィランを庇ったりしたら……。


皆は私のこと……どう思うかな。




憎むべきヴィランを……庇ったら……きっと皆にとって私は、忌み嫌うべき対象となってしまうのだろう。



それでも……私は_________。



あなた「…………あれ、何回目だっけ」




まぁいっか、回数関係ないし______。




?「87回だ」


あなた「……っ、!?」




誰……!?

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