緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°
先着で合格なら、同校で潰し合いはない……。
むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋……!
緑谷「皆!!あまり離れず塊で動こう!」
麗日「うん!」
飯田「そうだな!!」
爆豪「ふざけろ。遠足じゃねぇんだよ!!」
切島「馬鹿待て!待てって!!」
早速単独行動を始めてしまったかっちゃんに続いて、切島くんもついていってしまった。
予想はしてたけど……。
轟「俺も抜けさせてもらう。」
緑谷「!」
続いて轟くんまで、僕たちに背を向けていってしまった。
轟「大所帯じゃ、かえって力が発揮できねぇ。」
緑谷「轟くん!!」
峰田「緑谷時間ねぇよ、行こうっ!」
緑谷「……う、うん!」
あの2人はきっと大丈夫……と信じて。
僕たちは僕たちのすることをしよう。
あなた「ね、いずくん。」
緑谷「あなた?何……、」
肩をツンツンと突いてきて、振り返ると両手を合わせて申し訳なさそうに笑った。
あなた「ごめんっ私も抜けるわぁ。ちょっと早く上がらないとでさぁ。」
緑谷「……え!?」
あなた「んじゃ、そゆことだからまたね〜っ!」
緑谷「ちょっと!?」
なんでこう……うちのクラスって固まれないんだろう。
それに、戦闘力にも防御力にも優れたあなたが抜けるのはしんどい。
いやでも、下手に追って分裂は避けたいし……。
緑谷「単独で動くのは良くないと思うんだけど……。」
峰田「なんで?」
緑谷「だってホラ、僕らはもう手の内バレてるんだ……!」
体育祭は全国中継だ。
僕たちに"個性不明"というアドバンテージは残されていない……。
かっちゃん、切島くん、轟くん……あなた……!
あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°
さぁぁて……どうやって上がろうか。
手っ取り早いのは誰かの3つ目を掠め取る事だけど……良い感じのいないかなぁ。
障害物の上を走り抜いて見て回り、良さげな集団を探し求める。
……"あの人"、どこいるんだろ。
ダメだ、今は通過することを考えないと……!
……ん?
何やら竜巻のようなものが発生しているのが分かる。
建物の方だ……。
様子見がてら近づいてみると、その中心にいたのは今朝お辞儀で頭から血を流していた男の子……確か、士傑高校の……名前なんて言ったっけ。
あなた「風か……丁度いいや、」
見たところ、下にいる大勢のボールを風で巻き上げて没収したみたい。
一度に大勢を仕留めようとしているんだろう。
3人くらい奪っても、別に構わないよね……?
彼と体格側に回って、ボールの軌道を確認する。
あなた「アレと……アレだ。」
右手の人差し指を構えて、狙いを絞って強く弾いた。
目良〈……ようやく、1人目の通過者______うぉぉっ!?〉
さっきの眠そうな人の声がスピーカーから聞こえてきた。
"1人目"って……私のことカウントされてなかったり……?
目良〈つ、通過者2名……脱落者、120名……!?〉
言い方が問題だよね、私が脱落させたのはたった3人だっての。
目良〈えぇ……117名、それから……3名を倒したため、2人は通過とします。ANTEROOMへ移動願います……。〉
あなた「……あんて???なんだそりゃ、」
夜嵐「……キミ、いつの間に……、」
いつの間にか上から降りてきていた士傑の彼は、倒れた人たちを見渡してから私の手元を見た。
余ったボール3つをチラつかせてから、自分が何をしたのか説明をしようとしたけど……。
グゥゥゥゥ、
あなた「////……あの、なんとかルーム一緒に行きませんか……お腹空いちゃって、もう死にそう……、」
訳が分からない、といった表情をしていたけど、私の真に迫った訴えに何とか頷いて一緒に移動した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。