第137話

一抜け二抜け.°
15,725
2021/03/29 09:06
緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°



先着で合格なら、同校で潰し合いはない……。


むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋……!





緑谷「皆!!あまり離れず塊で動こう!」


麗日「うん!」


飯田「そうだな!!」


爆豪「ふざけろ。遠足じゃねぇんだよ!!」


切島「馬鹿待て!待てって!!」





早速単独行動を始めてしまったかっちゃんに続いて、切島くんもついていってしまった。



予想はしてたけど……。





轟「俺も抜けさせてもらう。」


緑谷「!」






続いて轟くんまで、僕たちに背を向けていってしまった。






轟「大所帯じゃ、かえって力が発揮できねぇ。」


緑谷「轟くん!!」


峰田「緑谷時間ねぇよ、行こうっ!」


緑谷「……う、うん!」





あの2人はきっと大丈夫……と信じて。



僕たちは僕たちのすることをしよう。






あなた「ね、いずくん。」


緑谷「あなた?何……、」






肩をツンツンと突いてきて、振り返ると両手を合わせて申し訳なさそうに笑った。






あなた「ごめんっ私も抜けるわぁ。ちょっと早く上がらないとでさぁ。」


緑谷「……え!?」


あなた「んじゃ、そゆことだからまたね〜っ!」


緑谷「ちょっと!?」






なんでこう……うちのクラスって固まれないんだろう。



それに、戦闘力にも防御力にも優れたあなたが抜けるのはしんどい。



いやでも、下手に追って分裂は避けたいし……。








緑谷「単独で動くのは良くないと思うんだけど……。」


峰田「なんで?」


緑谷「だってホラ、僕らはもう手の内バレてるんだ……!」






体育祭は全国中継だ。



僕たちに"個性不明"というアドバンテージは残されていない……。






かっちゃん、切島くん、轟くん……あなた……!




あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°





さぁぁて……どうやって上がろうか。



手っ取り早いのは誰かの3つ目を掠め取る事だけど……良い感じのいないかなぁ。




障害物の上を走り抜いて見て回り、良さげな集団を探し求める。





……"あの人"、どこいるんだろ。





ダメだ、今は通過することを考えないと……!







……ん?



何やら竜巻のようなものが発生しているのが分かる。



建物の方だ……。





様子見がてら近づいてみると、その中心にいたのは今朝お辞儀で頭から血を流していた男の子……確か、士傑高校の……名前なんて言ったっけ。







あなた「風か……丁度いいや、」







見たところ、下にいる大勢のボールを風で巻き上げて没収したみたい。


一度に大勢を仕留めようとしているんだろう。




3人くらい奪っても、別に構わないよね……?





彼と体格側に回って、ボールの軌道を確認する。







あなた「アレと……アレだ。」






右手の人差し指を構えて、狙いを絞って強く弾いた。

















目良〈……ようやく、1人目の通過者______うぉぉっ!?〉






さっきの眠そうな人の声がスピーカーから聞こえてきた。


"1人目"って……私のことカウントされてなかったり……?






目良〈つ、通過者2名……脱落者、120名……!?〉







言い方が問題だよね、私が脱落させたのはたった3人だっての。







目良〈えぇ……117名、それから……3名を倒したため、2人は通過とします。ANTEROOMへ移動願います……。〉


あなた「……あんて???なんだそりゃ、」


夜嵐「……キミ、いつの間に……、」






いつの間にか上から降りてきていた士傑の彼は、倒れた人たちを見渡してから私の手元を見た。


余ったボール3つをチラつかせてから、自分が何をしたのか説明をしようとしたけど……。






グゥゥゥゥ、






あなた「////……あの、なんとかルーム一緒に行きませんか……お腹空いちゃって、もう死にそう……、」








訳が分からない、といった表情をしていたけど、私の真に迫った訴えに何とか頷いて一緒に移動した。

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