第206話

利害の一致.°
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2022/06/04 12:00
爆豪𝓈𝒾𝒹𝑒.°







轟「寝る前にちょっといいか。」









半分野郎……、文化祭の時からなんなんだアイツ。





いや、俺には関係ねェ。










葉隠「やっぱり、"告白"かな!?」


耳郎「弱ってるところに……って、轟も策士家だよね。」


切島「っえ、アレってそうなのか!?」









エレベーターでワイワイはしゃぎやがる雑魚共を尻目に、変にムカムカする腹の上の辺りにイラついた。





んだよ、
 







芦戸「ね、ねぇ爆豪。」


爆豪「…………。」


芦戸「爆豪ってば!」


爆豪「あ"?」








黒目が俺の思考を邪魔しやがる。




目を向けると、他の奴らを気にするように声を顰めた。









芦戸「その……いいの?爆豪は行かなくて、」


爆豪「んで俺が行くんだよ。」


芦戸「え、だって……!……轟とあなたがくっ付いちゃってもいいの?」


爆豪「それの何が俺に関係あんだよ。」








チィ……イライラする。




アイツが誰と付き合おうが、誰とどうなろうが。







関係ねェわ。










芦戸「…………あなたが、好きなのはさ、」


爆豪「あ"、?」


芦戸「あ、ううん!やっぱなんでもない!」











4階に着いて、エレベーターから降りる。














芦戸「やおもも、梅雨ちゃんおやすみ〜!」


八百万「おやすみなさい。」


蛙吸「また明日ね。」


麗日「おやすみ!_______あれ、爆豪くん部屋戻らんの?」


爆豪「_______忘れモンだわ。」













胸糞悪ィ。











1階まで降りて、共有スペースに残ったアイツらの様子を伺う。




んで俺がこんな事_______、









ソファーに座る2人の背中。






いつも、俺の知らねェ所で話して、理解しあって。







クソ腹立つ。








腹いせに邪魔してやろうかと扉を少し開けた所で、聞こえてきた声に。



















あなた「_______好き、なの……。」



















爆豪「……、」













理解して、分かりきってた事に無性に胸がざわついて。






あなたアイツの気持ちが、いつも真っ直ぐに言葉を伝える半分野郎にいってるって事くらい、知ってただろ。
















爆豪「……チィ、」














逃げるようにその場から立ち去った俺自身に、嫌気がさす。




だからなんだってんだ。







関係ねェ。








ねェのに…………、













爆豪「…………………………ッソ、」











ンだ、これ……。













あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°





轟「伝えるつもりはねぇのか。」


あなた「……うん。これ以上、大切になるのが怖い。」








いつか終わりが来るこの日々が、運命通り終末を迎えたとして。




その時、離れられない関係を……切れない繋がりを、作るべきではない。










あなた「でも……だからって、爆豪くんにそんな事言えない。私の我儘で距離を置いてもらう事なんて出来ないし……きっと、 だろうから。」










何度突き放しても、拒んでも。




彼は何度でも私を呼び、私の心を鷲掴む。









どんどん好きになっていくのが怖い。





関わる度、言葉を交わす度。





今日だって。






彼の一挙一動に、胸が高鳴る自分が嫌だ。






立場をわきまえて、分別を付ける事が出来なくなっていく自分が怖い。












轟「……爆豪も、彼氏持ちの奴には平気で近付いて行かねェんじゃねぇかな。」


あなた「……、?いや、でも_______、」











私にそう呼べる存在はもうこの世に居なくて……否、元より、存在なんてしていなくて。





だからこそ、この空いた穴を私は……。












轟「俺と付き合うんじゃだめか?」


あなた「、え_______、?」












思ってもみなかった言葉に、その目を見つめた。





とても冗談を言っているような感じでもなく、ただただ、真っ直ぐに私を見つめて。













あなた「それ、って……"付き合ってる振り"をする、って事?」


轟「下手に関わる機会も減って、これ以上辛い思いする必要無くなるんじゃねぇかと思った。」


あなた「それは_______、」












暫く考えて、首を横に振った。












あなた「ダメ、だよ。…………轟くんは轟くんの好きな人と一緒になってほしい。私の事情に巻き込めない。」


轟「今日、見ただろ。呼び出された。」


あなた「……あ、あの時の?」








どう見ても告白だろうと爆豪くんは言っていたけど、







轟「お前が居なくなってから、ああいうのが増えた。」


あなた「……なぜ?」


轟「俺が普段から一緒にいる異性はお前くらいだったから。勘違いをしてくれていたんだと思う。」







"勘違い"。




……轟くんと私が付き合ってるっていう勘違い、って事だよね。









轟「正直、困ってる。」


あなた「……付き合わないの?」


轟「あぁ。だから、お前と付き合っていると俺にも利点がある。」


あなた「…………………なる、ほど。」













私は、爆豪くんとこれ以上親密にならないように……好きにならないように。





轟くんは、女の子避けの為に。








利害は一致しているって事……。












____________でも、











あなた「私じゃなくても、いい、よね。」


轟「……、」












お茶子ちゃんでもいい。



八百万さんでもいい。






轟くんに協力してくれる女の子なんて、いくらでもいるはずだ。












轟「お前じゃダメな理由がない。」


あなた「……っ、」












ド正論。





俯いて、考えた。









私は、樹の穴をホークスで埋めた。





心にポッカリと出来た穴は、結局塞がらなくて。









多分、私は……ホークスを傷付けた。







甘えた考えに支配されて、ただ自分の都合で振り回した。










そんな私が……、轟くんにまで。












轟「お前の力になりたい。それじゃダメなのか。」


あなた「……………………………。」









ただ、轟くんの意志は固いように見えて。






多分、これが1番……正しい選択なんだと。
















あなた「……ダメじゃ、ない。」












自分に、言って聞かせた。