緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°
緑谷「え、あの2人が……!?」
夕食後、自主練に行こうと廊下に出たところで、峰田くんと上鳴くんが話していた。
峰田「アレは間違いねぇ……!ックソォ、やっぱりイケメンがいいってのか!」
上鳴「しょーじきショックだよな、あなたは誰とも……って、安心してたとこあるし。」
緑谷「…………、」
恋人……って、
2人で遊園地に行って、手を繋いでクレープを半分こするアレだよね。
そっか、あなたと轟くんが_______、
緑谷「……、?」
胸の辺りがチクりと痛む。
別にダメな事じゃないし、むしろお祝いするべきなんだと思うけど……。
上鳴「あ〜ぁ、俺も次の恋探そっかなァ。」
緑谷「え____、"次の恋"って上鳴くん、あなたの事……?」
上鳴「あれ、気付いてなかったのか。結構アタックしてたつもりなんだけどなぁ。」
峰田「アレはモテる……無自覚天然モテとはあの事だ!」
そっか……、
緑谷「僕、ちょっと外出てくるね。」
2人に手を振って別れてから、エレベーターに乗った。
"恋人"……かぁ。
あなたにとってのそういう存在だった樹さんの正体が分かってから、きっとあなたは苦しかっただろう。
そんなあなたに、轟くんという人が居てくれるのなら、きっと大丈夫だ。
……でも、
チ、ン
一階に着いて外に出ようとすると、共有フロアのソファーに座る2つの影。
あなた……帰ってきてたんだ。
昼に早退してたけど、今終わったのだろうか。
あなた「、あ_______、いずくんっ。」
緑谷「ッ、…………____、?」
……?
あなたがこちらに気付いて振り返り、同じようにこちらに視線を移した轟くん。
その2人の姿を見て、また胸の辺りがチクりと痛んだ。
なんで……、
あなた「自主練?」
緑谷「あぁ……うん!」
あなた「明日は戦闘訓練だもんね!頑張ろう!」
緑谷「そうだね……!それじゃあおやすみっ。轟くんも!」
轟「あぁ、おやすみ。」
早くこの場から立ち去りたくて、早口になってしまった。
それがどうしてか、僕にはよく……分からなくて。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!