芦戸「あなた〜っ!!!夏休みだよ夏休み!!」
あなた「お〜三奈ちゃん!!よっしゃ会場まで競争だぁぁぁ!」
飯田「こら芦戸くん百々くん!廊下は走らない!!」
一学期終業式。
集会が行われるので教室を出てすぐに、私たち2人は走り出した。
……けど。
相澤「止まれ」
即先生に見つかって怒られた。
芦戸「あちゃ〜ミスったなぁ」
あなた「次は見つからないとこでしようね!」
相澤「……お前も補習メンバーに加えてやろうか?」
あなた「あ、もう二度と走りませんはい」
相澤先生怖いなぁ……教育という名の脅しだよ。
飯田「皆!出席番号順に並ぶんだ!!スムーズに席に座れるよう、ここに1列に______」
キビキビと動く飯田くんを微笑ましく見ながら、最後尾に移動する。
相澤「百々、お前出席番号18番だ」
あなた「……へ?」
あ、そういえば転校初日にそんなこと言ってたような……。
言われるまま移動すると、指差されたのはいずくんの前だった。
緑谷「あ、あなた……!」
あなた「私ここらしいわぁ、よろしくねいずくん!」
軽く話して前を向くと、ものすごい睨んでくる前の人。
……爆豪くんだ。
この2人に挟まれるって……嫌な予感しかしない。
爆豪「あ"ぁ!?んでてめぇが俺の後ろなんだよコロスぞおら"ぁ!」
あなた「爆豪くんが「は」で私が「ひ」だからしょうがないでしょ!後ろだからまだいいじゃん!前は嫌だろうけど!」
爆豪「てめぇに背後取られるんは気に食わねぇんだよ!!」
緑谷「ちょ、かっちゃん……他のクラスの人見てるよっ」
爆豪「るせぇデク!!」
勿論この後相澤先生に怒られた。
校長先生の話とか、もろもろ聞いて思ったより早く終業式は終わった。
教室に戻って各担任から話を聞くように言われて、皆それぞれ席を立った。
緑谷「あなた、教室戻ろっ」
あなた「あー、ちょっと先行ってて!」
いずくんに手を合わせてから、普通科の方に走り寄った。
こういう時しか会えないしなぁ。
私が近寄ると、A組だからか知らないけど視線を集めた。
そしてそれに気がついた彼は、同じように振り返って私を見て。
心操「……百々」
あなた「おっす心操くん!相変わらず眠そうだねっ」
体育祭からあまり話す機会がなかったので、伝え忘れていた。
心操くんはクラスメートに先に戻ってるように伝えて、私と向き合う。
心操「テレビ見た。流石の活躍だな」
あなた「あっ、はずかし……私っぽくなかったよねあんな優等生キャラ……!」
メディア相手にいい格好しておいたのは、あくまで雄英のブランドを下げないため。
もし私個人として出れていたなら、話はもう少し簡単だったんだけど……。
あなた「っじゃなくてそれより、体育祭のお礼言ってなかったからさ!」
心操「……"お礼"?」
あなた「ほら、騎馬戦……さ。お願い通り私を誘ってくれて、ほんとありがと!」
心操くんと初めて会った日にお願いしたあれは、正直そこまで期待してなかった。
他の科から白眼視されている事を知っていたから。
……でも。
あなた「嬉しかった。ベスト4なれたのも、心操くんのおかげだよ……!へへっ、それだけ!」
はにかんで伝えると、心操くんは首を振った。
心操「お前の実力だ。むしろ……3回戦に進めたのはお前がいたから」
あなた「えぇ、それは……嬉しい!」
素直に喜んだ私を見て、ふっと頬を緩めた。
心操くん……こんな風に優しく笑うんだ。
あなた「じゃっ、ごめんね引き止めて!」
心操「百々っ」
出口が逆にあるので踵を返すと、背中に呼びかけられた。
あなた「どした?」
心操「……また、話せるか」
あなた「…………」
目を散歩させながら、控えめに尋ねられた。
心操くん……。
初対面の時の対応と比較して、本当に柔らかくなったなぁ。
あなた「勿論だよっ!!今度改めてお礼させてね!」
手を振って今度こそ、しっかりと別れた。
心操「礼……か」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。