第78話

終業式・振り返り.°
20,611
2020/08/02 03:34
芦戸「あなた〜っ!!!夏休みだよ夏休み!!」


あなた「お〜三奈ちゃん!!よっしゃ会場まで競争だぁぁぁ!」


飯田「こら芦戸くん百々くん!廊下は走らない!!」



一学期終業式。

集会が行われるので教室を出てすぐに、私たち2人は走り出した。

……けど。



相澤「止まれ」



即先生に見つかって怒られた。



芦戸「あちゃ〜ミスったなぁ」


あなた「次は見つからないとこでしようね!」


相澤「……お前も補習メンバーに加えてやろうか?」


あなた「あ、もう二度と走りませんはい」




相澤先生怖いなぁ……教育という名の脅しだよ。




飯田「皆!出席番号順に並ぶんだ!!スムーズに席に座れるよう、ここに1列に______」




キビキビと動く飯田くんを微笑ましく見ながら、最後尾に移動する。





相澤「百々、お前出席番号18番だ」


あなた「……へ?」




あ、そういえば転校初日にそんなこと言ってたような……。


言われるまま移動すると、指差されたのはいずくんの前だった。




緑谷「あ、あなた……!」


あなた「私ここらしいわぁ、よろしくねいずくん!」



軽く話して前を向くと、ものすごい睨んでくる前の人。


……爆豪くんだ。



この2人に挟まれるって……嫌な予感しかしない。



爆豪「あ"ぁ!?んでてめぇが俺の後ろなんだよコロスぞおら"ぁ!」


あなた「爆豪くんが「は」で私が「ひ」だからしょうがないでしょ!後ろだからまだいいじゃん!前は嫌だろうけど!」


爆豪「てめぇに背後取られるんは気に食わねぇんだよ!!」


緑谷「ちょ、かっちゃん……他のクラスの人見てるよっ」


爆豪「るせぇデク!!」





勿論この後相澤先生に怒られた。



校長先生の話とか、もろもろ聞いて思ったより早く終業式は終わった。



教室に戻って各担任から話を聞くように言われて、皆それぞれ席を立った。




緑谷「あなた、教室戻ろっ」


あなた「あー、ちょっと先行ってて!」


 
いずくんに手を合わせてから、普通科の方に走り寄った。


こういう時しか会えないしなぁ。




私が近寄ると、A組だからか知らないけど視線を集めた。


そしてそれに気がついた彼は、同じように振り返って私を見て。




心操「……百々」


あなた「おっす心操くん!相変わらず眠そうだねっ」



体育祭からあまり話す機会がなかったので、伝え忘れていた。


心操くんはクラスメートに先に戻ってるように伝えて、私と向き合う。




心操「テレビ見た。流石の活躍だな」


あなた「あっ、はずかし……私っぽくなかったよねあんな優等生キャラ……!」




メディア相手にいい格好しておいたのは、あくまで雄英のブランドを下げないため。


もし私個人として出れていたなら、話はもう少し簡単だったんだけど……。




あなた「っじゃなくてそれより、体育祭のお礼言ってなかったからさ!」


心操「……"お礼"?」


あなた「ほら、騎馬戦……さ。お願い通り私を誘ってくれて、ほんとありがと!」




心操くんと初めて会った日にお願いしたあれは、正直そこまで期待してなかった。

他の科から白眼視されている事を知っていたから。



……でも。




あなた「嬉しかった。ベスト4なれたのも、心操くんのおかげだよ……!へへっ、それだけ!」




はにかんで伝えると、心操くんは首を振った。




心操「お前の実力だ。むしろ……3回戦に進めたのはお前がいたから」


あなた「えぇ、それは……嬉しい!」



素直に喜んだ私を見て、ふっと頬を緩めた。


心操くん……こんな風に優しく笑うんだ。




あなた「じゃっ、ごめんね引き止めて!」


心操「百々っ」




出口が逆にあるので踵を返すと、背中に呼びかけられた。




あなた「どした?」   


心操「……また、話せるか」


あなた「…………」


  
目を散歩させながら、控えめに尋ねられた。


心操くん……。


初対面の時の対応と比較して、本当に柔らかくなったなぁ。





あなた「勿論だよっ!!今度改めてお礼させてね!」




手を振って今度こそ、しっかりと別れた。































心操「礼……か」

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