前の話
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明日からは普通に学校だ。
急遽入ったバイトに向かうため、私は急いで家を飛び出した。
あなた「ありがとーございましたっ!」
レジ打ちの仕事にも大分慣れてきた。
お客さんを見送ると、品出しから戻ってきた先輩店員さんに話しかけられる。
先輩「いやー、安心したよ。初めての時はレジ3台ダメにしたしなぁ」
あなた「あっはは、も〜そんな事しないですっt____」
ガシャッンッ、、
あなた「……」
あ、今私が壊したと思った?思ったよね?ね?((圧
違うの、隣のレジからレジが飛んできたの。
店員「ちょっ、何して______っひ!ヴィラン!?」
ヴィラン「あぁ〜あ、レジ壊れちゃったしもうタダでいいよなぁ??なぁ??」
トカゲのビジュアルのそのヴィランは、レジにいる店員に自分の買い物カゴを晒しながらそう怒鳴っている。
……アギ以外のヴィランに個性使うことは、許可されてないからなぁ。
「おい逃げろっヴィランだぁ!」
買い物に来ていたお客さんが次々に逃げていく。
店員「ちょ、百々さんも逃げよう!!」
グイッと手を引かれて、踏みとどまった。
あなた「個性つかわなきゃいいんだ……」
店員「へ?」
エプロンを脱いで、警察に通報しようとしているお客さんに向かって振りかざしているヴィランの腕を掴んだ。
ググッ……
ヴィラン「……あぁ?なんだお前」
あなた「営業妨害です。お引き取りください」
私の個性は使ってもバレないから……まぁ程度によるけど。
グググッ……
ヴィラン「邪魔すんじゃねぇこのガキ……!」
口を開けると、そこから火がブワッと音を立てて吹き出された。
「きゃぁぁぁああ!!」
突然の個性の使用に慌てふためく店内。
モロに火を喰らってしまった私は、その手を離さずに更に力を強めた。
あなた「_________バイトの邪魔しないで」
ヴィラン「_________っ、」
トーンを下げて睨むと、ヴィランはビクッと体を震わせて再度火を吹_______、
ヴィラン「な……なん、だ!?」
あなた「………………おぉ、相澤先生」
相澤「昼飯買いに来ただけだってのに……」
"抹消"で個性を無効化されたヴィランは、少ししてやってきた警察に連れられて去って行った。
相澤「火傷してるじゃねぇか……治せ」
あなた「あーい」
回復してから、荒れた店内を見渡した。
今日は臨時休業になってしまい、とりあえず賄いをもらえないのでカップラーメンを買ってから、私も帰路についた。
?「ねぇっ、貴女さっき凄かったわぁ」
あなた「……?どう、も」
店から出て背筋を伸ばしていると、元気そうな女の人が買い物袋を両手に下げて駆け寄ってきた。
?「貴女、雄英の百々さんでしょ?テレビで見たわよ〜」
あなた「あは、どもどもっ!」
この髪色と目つき……どっかで______。
?「うちの勝己、迷惑かけてない?平気?」
あなた「…………………"うちの"勝己……?勝己って……ばっ、爆豪くん!?」
わっはは、と元気に笑ったその人は、私の下げているレジ袋の中身、カップラーメンを見て嬉しそうに歯を出した。
爆豪母「うちでご飯食べてきなよ!」
あなた「…………ええぇ?」
……成り行きって怖い。
ブロロロロ、
爆豪母「はははっ、そっかそっか〜。なんだかんだ仲良くしてくれてんだ!」
あなた「ははは……」
助手席で風を頬に受けながら現状の把握に精神を統一する。
……私、なにやってんだろ。
流れに身を任せて車に乗ってしまい、今向かっているのは勿論爆豪家。
爆豪母「勝己、多分まだ起きてないからなぁ〜。あの子は朝ご飯食べればいいから、どうせ一食分余るんだよ!」
あなた「……そう、なんですか」
あれ、このまま爆豪くんのお家行ったら私……。
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爆豪「あ"ぁ!?んでてめぇが居んだクソほくろ野郎!!」
……やっぱり。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!