相澤「百々。コスチュームが届いてるから後で俺のところに来い」
あなた「あーい」
帰りのHRが終わって、皆帰りの支度を始める。
芦戸「あなたっ!今日寮帰ったら晩ご飯の前に中庭集合ね!」
あなた「??うん〜」
何かあるのかな……?
とりあえず、職員室行こう。
三奈ちゃん達に手を振ってから、荷物を持って廊下に出る。
?「おぃ」
あなた「?」
襟に指をかけられて後ろに引かれたので振り向くと、相変わらず眉間にシワを寄せた爆豪くん。
爆豪「てめェコスチューム改良したんか」
あなた「あ、うん!エクトプラズム先生にデザイン変えてみればって言われて……。どんなんなってるか分かんないけど」
爆豪「……」
あなた「なに、どうかしたの?」
なんとも言えない表情で見てくるので首を傾げると、「なんでもねェわ。さっさと行け」ってなんとも理不尽な……。
あなた「はいはい行きますよ〜!んじゃ、またね!!」
手を振って小走りで職員室へと向かった。
・
あなた「失礼しま〜す」
ミッドナイト「お、来たね」
入ってすぐ気がついてくれたミッドナイト先生が、相澤先生に声をかけた。
相澤「ほら。1回着てみて、改良の余地が有れば連絡しろと言われている。そっちに更衣室あるから着替えてこい」
コスチュームボックスを手渡されて、言われるまま更衣室へ向かった。
・
ミッドナイト「あれ?イレイザー……更衣室ってもしかしてα?」
相澤「……?ああ。空いてるだろ」
プレゼントマイク「さっき個性の勃発で水浸しになった3年がそこ使うってなってんだよ。鉢合わせねぇか?」
相澤「……え?」
・
あなた「……これ、ちょっと露出が…………」
コスチュームを広げてみて、鏡に自身と重ねて写した。
"顔を隠す"というリクエストに対し、フードを付けてくれているのはありがたい。
……けど。
あなた「……短い」
お腹、出てるんだよなぁ……。
空気抵抗少なくって言ったけど、そういう意味じゃなくて……。
いいか。いったん着てみよう。
ネクタイを取ってボタンを外し、ブラウスを脱ぐ。
着るのも抵抗ちょっとあr__________、
ガチャ、
あなた「え」
?「…………え」
……誰?
青みがかった黒髪と鋭い目つきに尖った耳……。
……いや、誰?
?「っ、、!すみませ」
勢いよく壁方を向くのでよくよく考えてみると、自分が下着姿だったと思い出した。
あなた「ああ、こっちこそごめんね変なの見せて……!」
?「…………出で行くんで……」
ボソボソ何か言って、スタスタドアの方へ歩いて行く。
……あれ?
フワッ
?「!!!?」
あなた「!あっ……ごめん。濡れてる……よね?」
髪から水滴が滴っているし、制服も濡れている。
1年生かな?個性間違えて使っちゃったとか……。
あなた「着替えに来たんでしょ?私あっち向いてるから……ほら、タオル使って?」
?「え、いや……」
断ろうとしたのでタオルを押し付けると、渋々頷いてくれた。
何科だろう……ヒーローっぽくないなぁ。
お互い壁の方を向いて着替える。
コスチュームを身につけると、やっぱりお腹が出ているデザインでスースーする。
あなた「……コスチュームに、フードって……変、かな?」
?「…………俺、フード付いてる、けど」
あなた「!!?え、君ヒーロー科なの!?______っ、ごめ……!」
とんでも発言に驚いて振り向くと、彼は絶賛着替え中だった。
濡れた上半身をタオルで拭いている所で、その肌を見てしまったことへの罪悪感に思わず謝る。
?「いや…………俺も」
あなた「……え?」
?「見た、し」
「見た」…………?
……。
あなた「〜っ、、!!//」
そうだ……下着姿見られたんだった。
そっちが照れるとこっちもなるんだよ……!
?「着替えたから……」
脱いだ制服を持ち上げて、扉から出て行こうとする。
思わずその体操服を掴んでしまった。
?「え……、」
あなた「ねっ、ちょっとコスチューム見てよ!」
?「????」
向こうを向いたまま困惑している様子なので一旦離して、私の方を無理やり向かせた。
あなた「はい!変!?変じゃない!?どう!!?」
?「…………、」
彼は心底困ったように顔を歪ませて、恐る恐る私を見る。
?「(ジャガイモだ……この子はジャガイモ…………っ、腹部が出て……!//)」
あなた「?ね、どうかな?相澤先生に見せに行くんだけど変だったらやめようと思って……!」
もし変なら、初対面の彼に見られた方が都合が良い。
?「……いや、大丈夫」
クルンッと方向転換して壁の方を向くと、またボソッと言葉を出した。
……人見知り??
あなた「そっか……。お腹出てるのとか普通なのかなぁ」
?「……もう、行ってもいい?」
あなた「あ、うん。ごめんねっ。ありがと…………、あれ、まだ濡れてる……」
?「っっ、」
鼻筋に伸びた前髪から水滴が滴っていたので指ですくうと、思いっきり後ずさった。
ドンッ
そこへ、入ってきたミッドナイトとぶつかり……。
よろけたミッドナイトがその後ろの相澤先生にぶつかる。
……ドミノだ。
プレゼントマイク「あっちゃ〜……よりによってこいつらが鉢合わせたか」
頭を抱えたプレゼントマイクのその前で、相澤先生も同じように顔を青ざめさせている。
……???
ミッドナイト「ごめんね。ちゃんと伝達できてなくて……」
あなた「あっ、平気ですよ〜お互いちょっと見たくらいで」
?「……」
相澤「……その様子だと、こいつが誰だか知らないみたいだな」
……へ?
相澤先生は私の隣に並ぶと、彼に向かって軽く頭を下げさせてきた。
あなた「なっ、なに!?」
相澤「すまん。世間知らずなんだ。ビッグ3の存在も知らねぇ奴で」
……「ビッグ3」??
?「いえ……」
あなた「??どゆこと?」
相澤先生は尚も呆れた顔をして、私のこめかみに拳をあてがうとグリグリと動かした。
相澤「よーく聞いてお前のこの頭に焼き付けろ……。雄英ビッグ3_____3年の天喰だ」
あなた「________っ、、!!?え、3年!?」
相澤「そこじゃねぇだろ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。