頭おかしいんじゃないの……?
この学校、どんだけ金持ちなの。
第二関門、the fall。
乱雑に並べられた岩のブロックを繋いでいるのは一本の綱。
あれを渡れって……?
……、。
轟「先行くぞ」
シャァァァァッ
轟くんは紐を凍らせ、滑りながら攻略していく。
……ま、渡る必要はないよね。
邪魔になるので髪を結んで、何回かジャンプする。
プレゼントマイク〈むむぅ……?百々まさかぁぁぁっ〉
バッッ
岩と岩の間はまあまぁ距離があるけど、飛べないほどじゃない。
綱渡りよりも断然楽_________。
ツルッ
あなた「!!?」
着地と同時に、轟くんの氷が私の足元を覆った。
滑って転び、追い討ちをかけるように轟くんの蹴り。
ドゴッッ
あなた「ぐぁっ、」
受け身を取ると後ろに氷の刺が出現し、避けるために力を込めた足を払われた。
あなた「_________!」
フワッと、体が浮いて。
プレゼントマイク〈おおおおおっと!?トップ争い、敗れた百々はfallの下へぇぇぇ!!……え、死なないよね?ね?〉
轟「悪いな」
落ちていく私にそう言うと、颯爽と綱を渡り始めた。
うぉいうぉい……。
これ……死ぬんちゃう?
轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°
プレゼントマイク〈さぁ続々とゴールインだぁ!順位などは後でまとめるから、とりあえずおつかれぇぇぁ!〉
……百々、居なくねぇか?
…………まさか、あのまま死んじまってねぇよな?
辺りを見渡すけど、姿が見えない。
ゴールを次々としてくる奴らの中に、あいつの姿がねぇ。
轟「嘘だろ……?」
あなた「やーっぱ私が居ないと寂しいんだ?」
轟「!!!?お前、いつの間にゴールして___」
下位になるのは確定だったはず。
あなた「うん、運良く岩場に足かけるとこあったから、全回復交互に使って登った!」
轟「順位は……」
あなた「ん、爆豪君の後にゴールしたよ?気づかなかった?」
轟「_________は!?」
こいつ、あそこからそんな順位上げたのか……!?
轟「どうやって……」
あなた「ん、めっちゃ跳んだ!!」
腕をこれでもかというくらい大きく広げて歯を出して笑う姿に、ああもう……となぜか苦しくなった。
コイツの個性が並外れていることはよく分かる。
だからと言って負ける気もさらさらないけど、それ以上にこうして無邪気に笑うコイツがどうしようもなく憎めないんだ。
轟「……負けねぇからな」
顔をそらして呟くと、「うん!!」と元気に返事をされた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。