第86話

個性伸ばし.°
20,684
2020/08/04 13:26
合宿2日目。AM5:30



皆それぞれ大あくびをしたり体を伸ばしたりする中で、相澤先生は相変わらずの眠そうな目で私たちを見渡した。



相澤「おはよう諸君。本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は、全員の強化及びそれによる仮免の取得。具体的になりつつある"敵意"に立ち向かう為の準備だ。心して臨むように。百々、立ったまま寝んな」


あなた「んぐぉっ、」



いつの間にか包帯ぐるぐる巻きにされていて、頭を叩かれた。



あなた「痛ぅ」


相澤「という訳で爆豪」



なにが「という訳」だよ!


相澤先生は爆豪くんに体力テスト用のボールを渡した。


言われるままボールを持って位置につき、腕をブンブン回す。



瀬呂「この3ヶ月色々濃かったからなぁ。1キロとかいくんじゃねぇの!?」


切島「いったれ爆豪ぉぉ!!!」


あなた「ふ、ぁ……」




まずい、とんでもなく眠い。


相澤先生は目を擦る私の頭を再度叩いてから、「見とけ」と呟いた。




爆豪「じゃあ_________よっこら……」




気怠そう。






爆豪「くたばれぇぇ!!!!」



あなた「ぶほっ」




爆音と共に衝撃波が私たちを包む。


明らかにボール投げに適さない声かけに眠気が覚めた。




相澤「709.6メートル」


爆豪「!?」



えっと、確か最初の記録は705.2メートルだったから……思ったより伸びてない?

 


相澤「入学からおよそ3ヶ月。様々な経験を経て、確かに君らは成長している。だがそれは、あくまでも精神面や技術面。後多少の体力的な成長がメインで_____個性そのものは今見た通り、そこまで成長していない」





まぁ……言われてみればそりゃそうか。





相澤「だから今日から君らの個性を伸ばす」





そして、私の苦手なあの顔をした。



ニヤリと口角を上げ、「くれぐれも死なないように」と忠告された。







……帰りたい。















増強型の私といずくんは、虎さんの元で特訓する事になった。





虎「筋繊維をちぎれ」


あなた「……はぁ?」


緑谷「ちょ、あなた!?」





拳藤𝓈𝒾𝒹𝑒.°



先に練習に入っているA組のところに行くと、まさに地獄絵図。




虎「さぁ今だ!打ってこい!!」



ひたすらに体を動かしていた緑谷くんが虎にパンチを向けると、個性"軟体"でかわされて重いパンチを喰らっている。




辛……。





虎「ほらっ!次は君だ!こい!」




続けて声をかけられたのはその横で目をしぱしぱさせているあなただった。




あなた「はーいっ」


  

振りかぶった拳はやっぱりかわされて、その代わりにあなたの拳からの物凄い衝撃波が地面を震わせ辺りを凹ませた。




物間「やっぱり野生動物だ」


拳藤「否めない……」




ピクシーボブが個性で地面を修復し、あなたはカウンターを仕掛けてきた虎の攻撃をスルッとかわして再度攻撃を仕掛けている。




虎「ちぎれてないねぇ筋繊維!!」



あなた「あ"ぁもう!何回言ったら分かるの!?ちぎれんもん!!!」






……なんか喧嘩してるし。


あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°




ラグドール「んんっ?」



回ってきたラグドールが私を見て、疲れる度に回復しているのがバレてしまった。


怒られる事もなく済んで、私はいずくんとは別メニューでの特訓に切り替わった。





ピクシーボブの土魔術とひたすら戦うっていうそれはもう辛いものに……。







夕方。


今日から自炊するらしく、カレーの材料が並べられた机のある広場に連れて行かれた。




料理なんてした事ないし……。




飯田「世界一上手いカレーを作ろう!皆っ!!」




調子いいなぁ……。



一旦部屋に戻って着替える事になり、広場に再度集合した。




芦戸「あなたっ、服可愛い!プールの時もそれ着てたよな!?」


あなた「あっ、うん!気に入っちゃった」




轟くんの選んでくれた服に身を包み外に出ると、B組の皆も同様に私服に着替えていた。




あなた「一佳〜!」


拳藤「お〜あなた!やほ〜!」



手を振り合って特訓の成果を話していると、どこからともなく現れた物間くん。



物間「あれあれ〜?」



……どうせ「似合わない」って言うんでしょ。


知ってるし。



物間「自分に見合った服選べたんだな〜単なる野生動物じゃなかったのかぁ〜」



あなた「…………え?」



拳藤「あなた、こいつこれでも褒めてるつもりだから」




いつもと違う言葉に正直驚いた。


一佳に、「私もそれ可愛いと思う!」と褒めてもらって、「ありがとっ」と返した。




あなた「実はこれ、轟くんが選んでくれたんだ〜」


物間「え"」


あなた「?」


拳藤「(あちゃあ……)」



何故か苦笑を浮かべて頬をひくつかせている物間くん。


どうしたんだろう……?



轟「おい」


あなた「!」



噂をすればなんとやらで、轟くんが私の肩に手を置いた。



轟「カレー作るぞ」

 
あなた「あっ、うん!作ろう!!」



一佳に手を振ってその場を後にし、轟くんとカレーの作り方について談笑する。


























拳藤「物間、んな落ち込むなって」


物間「っ、別に落ち込んでないから!?」

プリ小説オーディオドラマ