第143話

不甲斐なさ.°
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2021/04/07 11:00
あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°




緑谷「あなた……、」


あなた「許さない………」





私から、もう二度と________。


樹を奪わないで……。





真堂「ぅ"……う、」


あなた「!いつk_______、」


真堂「……もはや執着だね、これは」


緑谷「真堂さん……!」


真堂「真堂揺だ。"樹"じゃない。」


あなた「……っ、」







落ち着いた真っ直ぐな瞳に、息を呑んだ。



さっき……さっきそうやって、理解したはずなのに。




目の前にいるのは樹じゃない。



別人なんだと、もう一度言い聞かせた。






回復が効いたようで身体に異常はなさそうだ。




真堂「奴らはすでに行動不能。手分けして残りの傷病者を非難させるんだ!オルカも止めないとまずいだろ!!」


緑谷「っはい!……あなた、行こう!!」


あなた「__________いずく、ごめ……、」






ただの私情を、試験に持ち込んでしまった。



こんなんで、これからヒーローなんて……そんなの。





緑谷「今はそんなのもう関係ないだろ!!轟くん達が危ない!!行こう!」


あなた「……!」








いずくんはこういう時、とても強い。


強くて揺れなくて、それは私たちにとっての希望で。






あなた「……うん!」







しっかりと頷いて、駆け出したいずくんに続いた。










樹はもういない。



希望なんて持っちゃダメだ。





ただ、それならこれくらいは、許されるよね……?






樹……。





見ていて欲しい。






轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°





キャングオルカ「さて……風使いを仕留めるか。」






超音波を浴びされて、行動不能になったところで地面に落とされる。



最悪。



連携ゼロ。




こんなんで、トップヒーローに敵うわけがねぇ。









______もしお前も、そう思ってんなら……!







『熱で風が浮くんだよ!!!』






左から、炎を絞り出す。




下から……掬い取れ!!!!





俺同様、超音波で動きを封じられている夜嵐が風を生み出す。


俺の炎とぶつかって、巻き上がる。





________風で、閉じ込めろ!!!






キングオルカの周りに、炎の渦が立ち込める。







ギャングオルカ「打った時は既に次を講じておくものだ!」







熱風の中で自身に水を浴びせ乗り切ったギャングオルカ。






キンッ







俺たちの個性の効果が切れて、ほぼノーダメージのその姿が露わになった。







ギャングオルカ「で?次は?」








ねェよ___________、






スッと、俺たちに伸ばされたオルカの手。







緑谷「2人から離れてください!!」





ドガァッ!!





腕に目掛けて放った緑谷の蹴りに、オルカの動きが止まる。






ギャングオルカ「緑谷……!」







緑谷……お前は、どこまでも________、







ギャングオルカ「温い蹴りだ________〜っ、!!?」


轟「_________あなた、」







オルカが緑谷に集中している隙に、目の前に現れたあなた。



オルカの腹目掛けて肘をひき、拳を握る。




目にも止まらぬ速さで放たれた攻撃は……







ブーーーーーーーッ




ドゴォォォォォッ!!







緑谷「!?」


あなた「………………」






要救助者が全員救助されたようで、仮免試験全工程が終了した。







緑谷「……えげつないって、」







あなたのパンチはオルカに触れる寸前で止まり、それによって形成された爆風が後ろの瓦礫を吹き飛ばす。







あなた「っ、轟くん!イナサくん!!」







オルカの無事を確認した後、こちらに駆け寄って回復を施してくれた。



自分の不甲斐なさに_________俺はあなたと目を合わせることができなかった。


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