あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°
緑谷「あなた……、」
あなた「許さない………」
私から、もう二度と________。
樹を奪わないで……。
真堂「ぅ"……う、」
あなた「!いつk_______、」
真堂「……もはや執着だね、これは」
緑谷「真堂さん……!」
真堂「真堂揺だ。"樹"じゃない。」
あなた「……っ、」
落ち着いた真っ直ぐな瞳に、息を呑んだ。
さっき……さっきそうやって、理解したはずなのに。
目の前にいるのは樹じゃない。
別人なんだと、もう一度言い聞かせた。
回復が効いたようで身体に異常はなさそうだ。
真堂「奴らはすでに行動不能。手分けして残りの傷病者を非難させるんだ!オルカも止めないとまずいだろ!!」
緑谷「っはい!……あなた、行こう!!」
あなた「__________いずく、ごめ……、」
ただの私情を、試験に持ち込んでしまった。
こんなんで、これからヒーローなんて……そんなの。
緑谷「今はそんなのもう関係ないだろ!!轟くん達が危ない!!行こう!」
あなた「……!」
いずくんはこういう時、とても強い。
強くて揺れなくて、それは私たちにとっての希望で。
あなた「……うん!」
しっかりと頷いて、駆け出したいずくんに続いた。
樹はもういない。
希望なんて持っちゃダメだ。
ただ、それならこれくらいは、許されるよね……?
樹……。
見ていて欲しい。
轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°
キャングオルカ「さて……風使いを仕留めるか。」
超音波を浴びされて、行動不能になったところで地面に落とされる。
最悪。
連携ゼロ。
こんなんで、トップヒーローに敵うわけがねぇ。
______もしお前も、そう思ってんなら……!
『熱で風が浮くんだよ!!!』
左から、炎を絞り出す。
下から……掬い取れ!!!!
俺同様、超音波で動きを封じられている夜嵐が風を生み出す。
俺の炎とぶつかって、巻き上がる。
________風で、閉じ込めろ!!!
キングオルカの周りに、炎の渦が立ち込める。
ギャングオルカ「打った時は既に次を講じておくものだ!」
熱風の中で自身に水を浴びせ乗り切ったギャングオルカ。
キンッ
俺たちの個性の効果が切れて、ほぼノーダメージのその姿が露わになった。
ギャングオルカ「で?次は?」
ねェよ___________、
スッと、俺たちに伸ばされたオルカの手。
緑谷「2人から離れてください!!」
ドガァッ!!
腕に目掛けて放った緑谷の蹴りに、オルカの動きが止まる。
ギャングオルカ「緑谷……!」
緑谷……お前は、どこまでも________、
ギャングオルカ「温い蹴りだ________〜っ、!!?」
轟「_________あなた、」
オルカが緑谷に集中している隙に、目の前に現れたあなた。
オルカの腹目掛けて肘をひき、拳を握る。
目にも止まらぬ速さで放たれた攻撃は……
ブーーーーーーーッ
ドゴォォォォォッ!!
緑谷「!?」
あなた「………………」
要救助者が全員救助されたようで、仮免試験全工程が終了した。
緑谷「……えげつないって、」
あなたのパンチはオルカに触れる寸前で止まり、それによって形成された爆風が後ろの瓦礫を吹き飛ばす。
あなた「っ、轟くん!イナサくん!!」
オルカの無事を確認した後、こちらに駆け寄って回復を施してくれた。
自分の不甲斐なさに_________俺はあなたと目を合わせることができなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。