第209話

汚れちまつたこの夜に.°
2,797
2022/06/15 12:00
そういえば……男女の部屋の行き来って、ご法度じゃなかったっけ、








轟「髪、ちゃんと乾かしてないだろ。」


あなた「ん……こんなもんでしょ〜。」









隣に座ると、スッと伸びてきた手が私の髪を掬う。









あなた「…………、?」


轟「……………………風邪引くから、乾かす。」









何やら複雑な面持ちを向けてきていたので首を傾げると、ドライヤーを取り出してきてコンセントに挿した。




温かい風が髪に当たり、シャンプーの香りがふわっと漂う。






軽く乾かしていたので、すぐに湿気は取れた。












轟「今日、切島にお前とのことを聞かれた。」


あなた「切島くん??……そうなんだ、」


轟「爆豪、そんなに気にしてねェように見せてるらしい。」


あなた「気にして…………ないんだと思うけど。」









私が誰と付き合ったところで、きっと爆豪くんは気にしない。




ただ、爆豪くんと2人になったり、必要以上に関わる事を拒む理由が作れただけ。













轟「……………………そういえば、ホークスの事でネットが騒いでたな。」


あなた「え、何かあったの……?」


轟「いや、お前との事でだ。プライベートでも一緒にいるからと、ファンが写真をネットに上げたらしい。」









そういえば……取材された時に"熱愛"がなんとかって。





ホークスが後で意味を教えてくれたけど、プライベートに一緒に居ただけでそんな風になるだなんて。











轟「ホークスとは、何もないんだろ?」


あなた「_________、」













分かり切っていることを確かめるような口調に、何も返せなかった。





ホークスと……私は、












轟「……キスも、お前にとっては軽いものなんだろ。」


あなた「え、?」


轟「俺がした時、あっけらかんとしていた。」










あれは……、





転校してきてすぐ、USJ事件の後。





轟くんを助けるためにキスをした事を謝った私に、轟くんは唇を落とした。







でもあれは……、











あなた「そんなんじゃ…………、」


轟「じゃあ今、俺とできる?」


あなた「_________え、?」











思わずその目と合わせると、微かに焦ったような、そんな表情。





轟くんは……何をそんなに、












あなた「〜ッ、!」









ドサッ









肩を押されて、バランスを崩したまま倒れ込む。




私を見下ろすその姿が、ホークスと重なって。










お腹の下あたりが、キュッと疼く感覚。













あなた「ダメ…………だよ、」


轟「______、」












轟くんが何に焦っているのか、どうしてそんなにも、余裕のない顔になっているのか。




私には、分からないけれど……












 


あなた「轟くんまで______汚したくない、」