緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°
すごい、皆パニックだ……。
緑谷「百々さん……百々さん!?」
やばい、見失ったぞ……。
この波に飲まれてどこに……!?
まずい、動けない……!!
轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°
「早く!早く避難を!!」
なんの騒ぎだ……雄英に侵入者?
どこのバカだ____。
タッタッタッ……
轟「……?」
とりあえず外に避難しようと歩いていると、それとは反対方向に走っていく足音が聞こえて振り向いた。
轟「……百々??」
転校初日だから、道が分かってないのか……?
……くそ。
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
学校中がパニックだ……でも警報の原因がマスコミなら、きっとすぐに警察が来て処理してくれるだろう。
とにかく今、私のすべきことは___。
あなた「!!」
演習場付近まで走ると、私の目は案の定“あれ”の姿を捉えた。
それは、もう少し後にしてほしいと心底思う……不吉な再会。
あなた「早すぎんでしょ、全く……」
端から見たら、ただフードを被った大男。
でも……。
?「グルル……」
ひゅう、と風が吹いて、そのフードをさらっていく。
露になったのは、無造作にいくつも生えた角と、吐き気を催しそうにもなる顔面を覆うほどの一つ目。
間違いない……。
……やらなきゃ。
私がやらなきゃ。
しっかりと見据えて、深く息を吐いた。
あなた「……アギ…………!!」
轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°
なんだ……?なにやってるんだあいつ……。
百々を追ってついていくと、演習場の近くで足を止めていた。
あなた「こっちだ!!!」
!?
あれ……ヴィランか……?
塀に隠れながら覗くと、その全貌が明らかになった。
轟「~っ、」
なんだ……あの禍々しいオーラは……。
一瞬で鳥肌が立った。
ダメだ……なんだ、体が……動かない……。
息が荒くなる。
あれは、ただのヴィランじゃない。
なんなんだ、あれ……。
“気付かれたら終わる”
そう、全身の細胞が叫んでいるような感覚。
ドゴォッ!!
あなた「くっ……」
轟「!!」
百々は、ヴィランと一気に距離を詰め奴の第一波を受け止めた。
避ければいいのに、なにやって……?
あなた「っっ、この!!」
百々の腕の5倍はあるそれを両腕で持ち上げて、腕に蹴りを入れた。
ドゴォッッ!!!!
グチャッッ……
轟「……!?」
百々の目にも止まらない蹴りを喰らったヴィランの腕は、グロい音とともに弾き飛んでいった。
なんだ、そんな脆いのか……!?
いや、あのオーラ……決して弱い敵じゃないはずだ。
それなら、百々の今の攻撃は……。
?「グルルゥゥ……!!」
ヴィランは呻き声を上げながら、百々から距離をとる。
轟「……!?」
百々……どこいった!?
視界に捉えていたはずの百々が消えて、瞬きをした次の瞬間にはヴィランの背後をとっていた。
あなた「……、~……!!」
なにか、口を小さく動かして口パクで唱えたような気がして。
?「ギュェェェェェッ……!!」
次の瞬間には、ヴィランはその場で地面に押し潰され、原型を留めずにぐちゃぐちゃになった。
轟「ぅ……」
ものすごい異臭だ。
ぐちゃぐちゃになったヴィランの、残った目ん玉を百々は容赦なく踏み潰した。
あなた「邪魔……すんな」
そう呟くと、潰れた体がさぁっと灰になって空中に舞い上がる。
舞い散るさくらと共に宙で遊んでから、消えていった。
途端、金縛りのようなものが解けて俺も動けるようになる。
ただ、もう戦いは終わっていて。
百々はその灰を見届けてから、水路から水を汲んできて飛び散った血痕を掃除し始めた。
なんなんだ……あいつ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!