第4話

アギ.°
58,618
2020/05/17 07:16
緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°


すごい、皆パニックだ……。



緑谷「百々さん……百々さん!?」



やばい、見失ったぞ……。


この波に飲まれてどこに……!?



まずい、動けない……!!



轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°



「早く!早く避難を!!」



なんの騒ぎだ……雄英に侵入者?


どこのバカだ____。




タッタッタッ……




轟「……?」




とりあえず外に避難しようと歩いていると、それとは反対方向に走っていく足音が聞こえて振り向いた。




轟「……百々??」




転校初日だから、道が分かってないのか……?



……くそ。



あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°




学校中がパニックだ……でも警報の原因がマスコミなら、きっとすぐに警察が来て処理してくれるだろう。



とにかく今、私のすべきことは___。





あなた「!!」



演習場付近まで走ると、私の目は案の定“あれ”の姿を捉えた。



それは、もう少し後にしてほしいと心底思う……不吉な再会。



あなた「早すぎんでしょ、全く……」



端から見たら、ただフードを被った大男。



でも……。



?「グルル……」




ひゅう、と風が吹いて、そのフードをさらっていく。



露になったのは、無造作にいくつも生えた角と、吐き気を催しそうにもなる顔面を覆うほどの一つ目。




間違いない……。



……やらなきゃ。




私がやらなきゃ。






しっかりと見据えて、深く息を吐いた。



あなた「……アギ…………!!」





轟𝓈𝒾𝒹𝑒.°




なんだ……?なにやってるんだあいつ……。


百々を追ってついていくと、演習場の近くで足を止めていた。




あなた「こっちだ!!!」




!?


あれ……ヴィランか……?




塀に隠れながら覗くと、その全貌が明らかになった。




轟「~っ、」



なんだ……あの禍々しいオーラは……。



一瞬で鳥肌が立った。



ダメだ……なんだ、体が……動かない……。



息が荒くなる。



あれは、ただのヴィランじゃない。



なんなんだ、あれ……。




“気付かれたら終わる”




そう、全身の細胞が叫んでいるような感覚。



ドゴォッ!!



あなた「くっ……」



轟「!!」




百々は、ヴィランと一気に距離を詰め奴の第一波を受け止めた。



避ければいいのに、なにやって……?





あなた「っっ、この!!」



百々の腕の5倍はあるそれを両腕で持ち上げて、腕に蹴りを入れた。



ドゴォッッ!!!!


グチャッッ……




轟「……!?」




百々の目にも止まらない蹴りを喰らったヴィランの腕は、グロい音とともに弾き飛んでいった。



なんだ、そんな脆いのか……!?




いや、あのオーラ……決して弱い敵じゃないはずだ。




それなら、百々の今の攻撃は……。




?「グルルゥゥ……!!」




ヴィランは呻き声を上げながら、百々から距離をとる。




轟「……!?」




百々……どこいった!?




視界に捉えていたはずの百々が消えて、瞬きをした次の瞬間にはヴィランの背後をとっていた。



あなた「……、~……!!」




なにか、口を小さく動かして口パクで唱えたような気がして。




?「ギュェェェェェッ……!!」




次の瞬間には、ヴィランはその場で地面に押し潰され、原型を留めずにぐちゃぐちゃになった。




轟「ぅ……」



ものすごい異臭だ。




ぐちゃぐちゃになったヴィランの、残った目ん玉を百々は容赦なく踏み潰した。






あなた「邪魔……すんな」







そう呟くと、潰れた体がさぁっと灰になって空中に舞い上がる。


舞い散るさくらと共に宙で遊んでから、消えていった。




途端、金縛りのようなものが解けて俺も動けるようになる。





ただ、もう戦いは終わっていて。





百々はその灰を見届けてから、水路から水を汲んできて飛び散った血痕を掃除し始めた。









なんなんだ……あいつ。

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