第87話

カレー作り.°
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2020/08/05 10:31
芦戸「轟〜!こっちにも火頂戴〜」



釜戸に火を付けて回っている轟くんをじっと見ていると、「なんだ?」と尋ねられた。



あなた「や……なんか、不思議だよね。熱くないの?」



今更だけど、自身の体から氷とか炎が出るってどんな感じなんだろう。


掌に乗っかる火種を見ながら聞くと、轟くんは数秒それを見つめた。




轟「特になにも……」


あなた「へぇ……掌が特殊なのかな?」




火を木に移して立ち上がった轟くんは、スッと左手を私に広げた。




轟「触ってみるか?」


あなた「あ、いいの?」



芦戸「(轟っ、ナチュラルにボディタッチを要求したぞ!)」


麗日「(そんであなたちゃんなんとも思ってへん!)」




?なんか見られてる……。




両手を伸ばしてその左手に触れようとすると、瞬間私の首に誰かの腕が回った。



こんな乱暴な事するのは_________。




爆豪「ほくろ野郎、てめぇこっちで玉ねぎ切れや」



あなた「……え?」




やっぱり爆豪くんだ、と確認したのも束の間。


グイッと引き寄せられて、机の方へと連れて行かれた。



あなた「いちいち乱暴だよね……」


爆豪「あ"ぁ!?」




他の野菜は切り分けられていて、残ってるのは玉ねぎだけだった。



爆豪「誰も切らねぇんだよめんどくせぇ」



包丁と玉ねぎを持って、トントントンッと隣で切っている。



……え、すご。




あなた「爆豪家は皆料理できるの?」


爆豪「は?料理"できる"も"できねぇ"もねぇだろ」


あなた「…………」



ザシュッ



あなた「痛……」


爆豪「!?」


蛙吸「あなたちゃん、大丈夫?今結構鈍い音がしたけど……」


あなた「あっ、平気平気〜!」



玉ねぎって滑るんだ……。


教訓にしておこう、と流血している左手の人差し指に回復を施そうとすると、手首を掴まれて寄せられた。



爆豪「てめぇマジなんもできねぇな」


あなた「むっ……教えてもらったらできるもん!」




怪我しているところを凝視すると、チッ と舌を鳴らした。


絆創膏でも貼ってくれるのかな……?


回復すれば済む話だけど。




芦戸「轟〜っ火ぃ消えそう!」


轟「ああ」




轟くん……日常的に左を使うこと、慣れてきてるのかな。


良い事……だよね?



爆豪「……んな半分野郎が気になるか」


あなた「_______え?」




釜戸の方に視線をやっていると低いトーンでそう言われて、視線を戻すと血が垂れる私の指をぱくりと咥えた。




あなた「……。…………………〜っな、!?/////」


爆豪「…………」




傷口に舌の感触が伝わって、じんじんと痛む。




あなた「ちょ、待っ…………」



ヌチュ、



私の指を解放したと共に、その形の良い口元から湿った音が聞こえた。




爆豪「てめぇはいちいちムカつくな」


あなた「〜っはぁ!?///」




何それ!?


なんでムカつくの!?


しかもなんでそれで私の指食べるの!?




芦戸「(ごめんあなた……ちゃっかり見てたよ)」


麗日「(爆豪くん……分かりやすいな)」


切島「(マジか!?マジか爆豪!!!)」




あなた「……そんなにお腹空いてたの?」


爆豪「……てめぇマジぶっ殺す」




……意味分からない。





あなた「もう………………何このバクバク……///////






?𝓈𝒾𝒹𝑒.°




?「〜なんって言うかこれ嫌。可愛くないです」


?「裏のデザイナー、開発者が設計したんでしょ?見た目はともかく理には適ってるはずだよ」


?「そんな事聞いてないです!可愛くないって話ですっ」




るせぇな……。



これで7人、か。




?「結構は10人全員揃ってからだ。威勢だけのチンピラをいくら集めたところでリスクが増えるだけだ。やるなら経験豊富な少数精鋭_____まずは思い知らせろ。てめぇらの平穏は、俺達の掌の上だって事を_______」























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事件は、目の前に_____________

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