前の話
一覧へ
次の話

第1話

44
2019/06/06 09:53
「どうして生きてるの?」

確か君はそう言ったよね。

その時は答えられなかったけど、今なら答えられるよ。

わかったんだ。

別に生きたいわけじゃなかった。

何かしたいわけじゃなかった。

ただただ死ぬ勇気がなかったんだ。

「死ぬって何だろう」

「死ぬって怖いのかな」

「死んだら楽になれるのかな」

そんな事を言ったよね。

君が唯一の友達で、僕はそれが嬉しくて、

君が「何でも言っていいよ」って…

「相談してね」って…

「話聞くよ」って…

そう言ってくれて嬉しかったんだと思う。

でもその時は君の事信じてなかった。

全部全部うわべだけの嘘だって思ってた。

でも君はホントにただ聞いてくれてた。

だから信じられるようになった。

君には家の事も

学校の事も

親の事も

いっぱい、いっぱい言っちゃった

ダメだ…

止めなきゃ…

これ以上言っちゃいけないんだ…

言い聞かせてたはずなのに

僕の口からはどんどん言葉が溢れた。

そのせいで君は病んだんだよね。

プリ小説オーディオドラマ