「どうして生きてるの?」
確か君はそう言ったよね。
その時は答えられなかったけど、今なら答えられるよ。
わかったんだ。
別に生きたいわけじゃなかった。
何かしたいわけじゃなかった。
ただただ死ぬ勇気がなかったんだ。
「死ぬって何だろう」
「死ぬって怖いのかな」
「死んだら楽になれるのかな」
そんな事を言ったよね。
君が唯一の友達で、僕はそれが嬉しくて、
君が「何でも言っていいよ」って…
「相談してね」って…
「話聞くよ」って…
そう言ってくれて嬉しかったんだと思う。
でもその時は君の事信じてなかった。
全部全部うわべだけの嘘だって思ってた。
でも君はホントにただ聞いてくれてた。
だから信じられるようになった。
君には家の事も
学校の事も
親の事も
いっぱい、いっぱい言っちゃった
ダメだ…
止めなきゃ…
これ以上言っちゃいけないんだ…
言い聞かせてたはずなのに
僕の口からはどんどん言葉が溢れた。
そのせいで君は病んだんだよね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。