…ああ、あの子は優しい。
…仕方ない。
目を閉じている間に私が移動すれば…
優しい。後ろを指さすのだって…
いや、違うのかもな。人を殺したっていう、重い事を、罪を背負いたくないだけか。
最後は結城妹自身で私を指さした。
これでいい。
「本日は、齋藤湖南ですねー!それじゃ、そこのロッカーにある道具から選んで、五分以内に処刑してね!」
…佐倉…といったか。
人を殺めるということ、怖くないのか?
…悲鳴がうるさい。こいつの言葉をひとつ残らず聞きたいと言うのに。
本当に死ぬのか。私。
バァン!
…痛い。心臓を撃たれた。あの距離で…あぁ…死ぬのか。
〜椎名Side〜
心臓の音がうるさい。皆がうるさい。
私は…
「処刑お疲れ様でーす☆死体の処理は…そうですね、椎名さんと、奏さん、大河さんに任せて、他の人は部屋に戻ってください!…くれぐれも、人狼にはお気をつけて」
渡辺…さん、頭がおかしくなってただけ…だったのか
私は感情なんかいらない。感情なんか捨てた。
あの日に。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。