第4話

Morning
685
2021/09/08 11:45
N side_






…朦朧とした意識の中、ぼんやりと光が見える。


重たい瞼をゆっくりと開けてみれば、見慣れた部屋の景色。


…また、俺がベッド?



早朝でも構わずにむくりと起き上がり、リビングに向かう。

すると案の定、ソファーに横たわって眠る相葉さんの姿が目に入ってきた。


「…相葉さんの家だってのに…」



しかも昨日の仕事では相当動いてて、体の疲労もかなりだったろうに、あなたって人は優しさを通り越した馬鹿なんだろうか。

自分の身を削ってまで相手を気遣うのは相葉さんあるあるだけれど、その優しさに俺は良い気はしていない。


相葉さんの顔の前にしゃがみこむと、彼の規則正しい寝息が耳に届く。

あまりにも綺麗な寝顔には、いつまでも経っても慣れない。


微かに揺れる睫毛に誘われて、思わず手を伸ばしてまう。


…ああ、触れちゃいけないのに…

つくづく欲望に弱い自分に呆れてしまった。


「…ちゃんと休みなよ。」


そう小さく呟いて、相葉さんの体を持ち上げる。

華奢で細いあなたは、力の無い俺でも持ち上げられちゃうくらいに軽くて、いつも折れてしまわないか心配になる。


つい先程まで俺が寝ていた彼のベッドの上にそっと寝かせて、薄い掛け布団をかけてやる。

…本当に、ちゃんと寝て欲しいから。



「…無茶ばっかなんだから、あいばか。」



そんな事言っても、あなたは笑って誤魔化すんだろう。

…俺があなたの特別な存在になれたなら、誤魔化しも逃がしも、無茶な事もさせないのに。


なんて、馬鹿げた提案、叶うはずもないのにね?

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