第6話

Scent
647
2021/09/10 10:30
N side_






お昼より少し前、俺と相葉さんは楽屋へと入った。

楽屋には新聞を広げた翔ちゃんが座っていたが、俺たちが楽屋に入るなり不思議そうに目を丸くした。



櫻「…あれ、二人一緒に来るなんて珍しいね?」


そう、俺と相葉さんは普段楽屋入りする時間が全く違うのだ。

相葉さんは早くて、いつも翔ちゃんの次くらいに来てるのだが、

反対に俺はいつも時間ギリギリに来るので、そりゃこんな早く来るのだから翔ちゃんも驚くだろう。


「俺今日早く起きたからさ、

久しぶりにこんな早めに来たかもー、」


敢えて泊まったとは言わず、隣の相葉さんにも意味ありげな笑みを浮かべ、翔ちゃんが目を逸らした隙に人差し指を口元に立てた。

相葉さんは不思議そうな顔をしていたが、

いいじゃん、どうせ叶わないなら匂わせくらいさせてよ…



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収録後、俺が楽屋で着替えをしていると、突然翔ちゃんが俺を呼び出した。

楽屋を出て少しした所にある自販機前で、

翔ちゃんは周りを確認して小声でこう聞いてきた。



櫻「…ニノ、昨日相葉くんの家に泊まった?」


「…あら、バレました?

…でもどうして?」


翔ちゃんは眉間に少しシワを寄せる。


櫻「その…気持ち悪いかもだけど、ニノ相葉くんと同じ匂いがしたっていうか…」


「あー、シャンプーの香りね。

相葉さんのシャンプーかなり香り強いから、それじゃない?」


そう答えると、翔ちゃんも納得したように頷いた。

しかし、また目を細めて…



櫻「…その、何で隠してたの?」


「え?」


櫻「いや…何か妙な間あったしさ、もしかして…つ、付き合ってたりとかしてんじゃないかって…」


…まさかの匂わせ成功?


櫻「い、いや!良いんだよ!?メンバー間で恋愛感情を持つってのもおかしくないし!俺は受け入れたい!」


焦りながら必死にそう言う翔ちゃんに思わず笑みが溢れる。



「ふふ…付き合ってる訳ないじゃん、

ごめんなさいね、ちょっと遊び心が出ちゃって。まさか翔ちゃんがそんな取り乱すだなんて…ふふ、」


そう言うと、翔ちゃんは小さく息を吐いて「なんだよ、!」と呆れて笑った。


…付き合って、ない、んだもんな。

てか、付き合えないし…



…自分から仕掛けておいて、何だか虚しくなってきた。

本当、何してんだよ俺…。

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