『辰哉くん迎えに来てくれてありがとう。』
私は少し色付いた唇を見られるのが何故か恥ずかしくて俯いていると
辰哉くんがしゃがんで私の顔を覗き込んだ。
『わっ///』
「いいね、似合ってるよ。」
『そうかな///ありがと//』
私を見つめる辰哉くんの顔はとても優しくてキラキラしていた。
辰哉side
ほんのりピンクの口紅をつけたあなたはいつも以上に可愛くて出来るなら今すぐにでも抱きしめたかった。
そんな勇気も権利もない俺はただただあなたを見つめていた。
「いいの見つかって良かったね。」
『うん。美弥がねあなたならこれが似合うよって選んでくれたの。』
「ふふ。あなた嬉しそう。美弥ちゃんと出会えて良かったね。」
『うん(*^^*)』
「よし、帰ろっか。」
そう言い立ちあがるとあなたが俺の服の裾を少し引っ張った。
『た、辰哉くんは口紅つけてる私、好き?』
。。。。!!?
突然の質問にビックリした。
でもあなたのことだ。きっとこの質問に特別な意味はなくて初めてのことで本当に似合ってるのかどうか不安とかそうゆう意味だろうと思い俺はサラッと答えた。
「好きだよ。不安になることは何も無い、あなたは可愛いんだから。」
『ふふ。ありがとう。毎日つけるね( *˙˙*)』
、、、あぁ本当に可愛い。独り占めしたい。
これが本当に俺だけのことを思って買って見せてくれてるならどれだけ幸せなんだろう。
ねぇ、それ誰に見せるために買ったの?
「俺だけじゃダメなの?」
『え!?』
「あ、、、」
気づいたら口に出してしまっていた。
『今なんて、、、』
「なんでもない。もう暗くなってきちゃったし帰ろ。」
『そうだね。』
俺は彼氏でも何でもない。あなたにとってただの幼馴染みのお兄ちゃん。
あんなこと堂々と聞けるわけがなかった。
だから俺は2人で帰れるこの時間をめいいっぱい楽しむことに専念した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!