松村くんは下を向きながら話し始めた。



松村「俺のこと少しは好きだなって思ってくれた？」



『…うん。』



松村「そっか…。もうそれだけであなたに思いを伝えられて良かったって思うよ。ありがとう。」




松村くんの声は掠れていて下を向いたまま泣いているのが分かった。



『好きになってくれてありがとう。そばに居てくれてありがとう。私の心の支えだった。松村くんのおかげで私はここまで元気になれた。ありがとう。』



もし1人だったら辰哉くんに彼女がいることを受け止め切れなかったと思う。


松村くんがいたからこそ私は今日まで過ごしてこれた。


あなたの優しさのおかげで私は救われた。




松村「ははっ。俺ちゃんと彼氏出来てるじゃん。」



空元気で発するその言葉には色んな意味がこもっていて


すぐに返答することが出来ず沈黙の時間が続く…



























10分位経った頃松村くんが話し始めた。



松村「あなた？俺あなたが本当に好きだったよ。だから、あの先輩と幸せにならなきゃ許さないからな。」



もう涙は収まりいつもの笑顔で真っ直ぐと私を見ながら言った。


それはしっかりとした意志のある言葉で松村くんの中で割り切れたように感じた瞬間だった。



『ありがとう…。』



松村「おう。辛くなったらいつでも頼ってな。」


『うん。ありがとう…。』



それからニコッと笑って私の頭を撫でた。


あの日以来私に触れることは無かった松村くんが久しぶりに触れた。


松村「本当はさこうやって撫でたり手繋いだりデートしたり沢山したかったんだけどやっぱ俺ダメだったんだよね。てか拒絶されるのが怖かったんだよね。」


『そうだったの？』


松村「そうそう。笑 だって折角付き合えるようになったのに嫌われたくないじゃん。笑」


『気を使わせてごめんね。』


松村「あなたのことだから優しさで受け止めてくれることは分かったけど俺だけ下心あるのは罪悪感だから。笑 あ、今のこれは純粋に友達として泣いてるあなたを慰めてるだけだからね！笑」


『わかってるよ。笑 ありがとう。笑』


松村「おう。やっぱりあなたは笑顔が似合うわ。」


『松村くんも。そのミステリアスな雰囲気からの笑顔のギャップが良いよ。』


松村「好きになる？」


『んー…ならない。笑』


松村「キツッ！笑 」


『はははっ。ごめん。』


松村「じゃあこれからはお友達としてよろしくな。」


『いいの？』


松村「むしろそうして欲しい。」


『ありがとう。』


松村「おう。じゃ、帰ろっか。」


『そうだね。帰ろう。』








こうして私たちはお友達に戻った。


公園でバイバイをしてそれぞれ帰路につく。


松村くんが小さく「ありがとう。幸せになれよ」と呟いたのは私に聞こえることはなく静かにゆっくりと夕日と共に沈んでいった。