放課後になり松村くんと一緒に帰り道を歩く。
松村「どこにする?」
『あの公園でいいかな?』
松村「おっけ。」
その会話から公園までの道はずっと無言で
まるでこれから何を言われるかわかっているかのような空気だった。
『着いたね。あそこでいい?』
松村「ここ…」
それは私が告白を受けた場所。
残酷かもしれないが私たちが前見たくクラスメイトに戻るにはとても意味のある場所だった。
ベンチに腰をかけ横並びに座った。
『私ね、この1ヶ月間松村くんにはすごく助けられた。本当にありがとうね。』
松村「ううん…。俺の方こそありがとう。」
『松村くんは本当に優しくてさ雰囲気とかも心地よくて一緒にいて私まで優しい気持ちになれたようなそんな気がしたんだ。』
松村「俺もあなたといるとすごく幸せな気持ちになれたよ。」
『でも結果的に私は松村くんに甘えてただけだった。』
松村「違う。俺があなたの優しさに甘えて一緒にいたんだ。あなたの気持ちはずっとわかってたのに。ごめん。」
『ううん。謝らなきゃいけないのは私の方。松村くんの優しさに甘えてたのは私の方なの。本当にごめんなさい。』
松村「……俺ら似てるのかもね。笑 でもそれでも俺はあなたが好き。だから一緒にいたい。」
松村くんの思いは痛いほど伝わってくる。
こんなに優しくてかっこよくて真っ直ぐに思いを伝えてくれているのに
私はこの思いを受け取ることが出来なかった。
『ごめん…ごめんなさい…。やっぱり私は辰哉くんが好き…なんだ。2番目でもいいって言ってくれたけどずっと気を使わせてしまってそれじゃあダメだって思ったの…。』
松村「うん…。」
『だから…別れて…欲しい。』
松村「…。」
別れを言い出すのもこんなに辛いのに言われている松村くんは比にならない位辛いだろう…。
…ごめんね。
…松村くんごめんね。
気がついたら頬に涙が伝っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。