辰哉side
漬物コーナーで1人悩んでいた。
「たくあん…きゅうり…どっちも捨てがたい…」
その時レジに並んでるあなたの彼氏を見かけた。
「アイツちゃんとスーパーで食材買ってご飯作ってんのか…えらいな…。」
なんて呑気に見てたら隣に美弥ちゃんがいた。
仲良く2人で買い出しをしている姿はまるで付き合いたてのカップルのようで俺の頭の中は一気に混乱した。
「え、待って…どういうこと?もしこの光景をあなたが見たら…!!!!」
俺はあなたがこの光景を見て傷つくのだけはなんとしても避けたかった。
レジの方に近づかないようにするため急いであなたの元へ戻る。
「アイツ…あなたがいながら美弥ちゃんと…覚えてろよ。」
イライラした気持ちを抑えながらあなたの元へたどり着いた。
『辰哉くん急いでどうしたの?てか漬物は?』
「あ…」
『え?もしかして何見に行ったか忘れたの?笑』
「ごめん…」
『ちょっと老化進みすぎじゃない?笑笑』
「うるせぇ。笑」
『仕方ないなぁ〜もぉ。必要な食材見たら最後に一緒に見に行こっか♪』
「…おう。」
その後あの二人に鉢合わせることも無く食材を買い終わった俺たちは家に辿り着いた。
言わないであなたの恋を見守るべきか正直に言って慰めるべきか
あなたのことが大切だからたったの数十分で答えが出せるような内容では無かった。
「一体どうなってるんだ…」
「美弥ちゃんもあなたの友達なのに…」
『さっきからブツブツ言ってるけど辰哉くんなんか変だよ?どうかしたの?』
「いや!なんでもないよ。お腹すいたな〜」
『今から作るから楽しみに待っててね♪』
ニコッと笑うその顔が可愛くてドキッとする。
こんなに可愛いあなたを裏切るなんて…って考えたけどアイツがそうくるなら俺は我慢しない。
だって今目の前には俺のためにご飯を作ってくれてる大好きなあなたがいるんだもん。
俺は一旦アイツの事は忘れてこの幸せな時間を楽しむことにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!