第13話

scene.13
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2022/02/27 08:20
「あっれ〜?あなたじゃん。こんなとこで何寝そべってんだよ。」
「風邪ひくぞ。」
「お前怪我してんの?ウケる。」
「なに、ここで死ぬの待ってんの?」
Y o u
うっるさい!見ればわかるでしょ?!怪我人なの!ちょっとは気を使えないわけ?!
半ギレで目を開ければ、そこにいたのは最悪の人物だった。
灰谷 蘭
俺らにんなもん求められてもな〜。
灰谷 竜胆
持ち合わせてねーよ。
Y o u
うわ、最悪…
灰谷 蘭
え〜、久しぶりに会ったのにそれはないだろ〜?
Y o u
なんでここにいるのよ。
灰谷 竜胆
今日の祭りでおもしれぇ抗争が見れるって聞いたから来た。
Y o u
あっそ、もう終わってるでしょ。
灰谷 蘭
まぁな。帰ろうとしたら道のど真ん中に転がってるおもしれぇもん見つけたからさ。
Y o u
はいはい、今退きますよ。お邪魔してすみませんでした。
血が滲む浴衣の上から傷口を抑え、体を起こそうとすると、それは叶わなかった。
灰谷 竜胆
怪我してんだろ、無理すんなって。
灰谷 蘭
オレらが助けてやろうか?
Y o u
…100倍にして返せとか言われそうだからいい。
灰谷 蘭
んなこと言わねぇよ。俺とお前の仲だろ?
灰谷 竜胆
ほら、手貸せよ。
渋々差し出された手を掴むと、軽々と抱き上げられてしまった。
Y o u
ちょ、さすがにお姫様抱っこは恥ずかしい!
灰谷 蘭
プレミアだぞ〜。大人しくしとけよ。
受け流された。これだからこの人たちとの会話は嫌なんだ!
灰谷 竜胆
ここまで出りゃ、救急車も分かるだろ。
明るく、広い道まで運んでくれたようだ。
Y o u
あ、ありがと、う。
灰谷 蘭
寂しそうな目してんな〜。もっと一緒にいたい?笑
Y o u
なっ?!///べ、つに、そういう訳じゃ…
灰谷 竜胆
ふーん、じゃあ帰るか。
Y o u
あ、まっ…
灰谷 蘭
ん〜?なに〜?
Y o u
…なんで、助けてくれたの?
灰谷 蘭
別に、気分だよ。
灰谷 竜胆
久々に会ったわけだしな。
Y o u
そ、か。ありがとう。
灰谷 蘭
お大事にな〜。
灰谷 竜胆
今度会ったらサービスしろよ。
Y o u
あ!そういうこと言わないって言ったのに!
ケタケタと笑いながら去っていった二人の背を見つめ、改めて感謝した。
正直不安だったけど、気が紛れた。
久しぶりすぎたけどね。
そして漸く、救急車がやってきた。
その頃にはまともな返事が出来なかった。
いや、できるにはできるけど、受け応えがめんどくさかった。ここで言わないと後々めんどくさくなるけど、今はもう寝たかったから。
神様。死んでもいいかと思っていたけど、あの2人の助けに免じて、もう少しだけ生きてあげます。それに、まだみっちゃんに直接文句言ってないしね。


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