you side
ざぁぁ と屋根にあたる雨音が心地良い。
静かで暗く、少し肌寒い夜に
私は目覚めたようだ
横を見ると
長いまつ毛と綺麗な鼻筋のユウタさんが。
私に覆い被さる布団を
毛布だけのユウタさんへ移動させたあと、
ひんやりしたスリッパに足を通して
リビングへ向かった。
in living room
『 ひっ、、 』
暗闇に包まれているリビングに
スマホの電源からの明かりでうつる人影。
少しかすれ気味の声で私を呼んだのは
ボーカルのドヨンさん。
白く無機質なマグカップから漂う湯気を
じっ と見つめては、頬杖をついて。
すると はぁ と息をついたドヨンさんは
そう私を見ては眉をひそめた。
最後の言葉で私の心はズキンと痛くなるけど
きっと少しは
私の背中を押してくれてるんだろう
そう思うと痛みなんて消えて
まるで抱きしめられたように心が温かくなる。
ボソボソと独り言を言うドヨンさんに
ふふ と笑みがこぼれてしまいそう。
そんな姿をあまり見せるものでも無いから
私は椅子を引いてキッチンへ向かった
耐えられずキッチンで笑ってしまった私に
ドヨンさんは気付いて。
その瞬間、場所は違えど2人で笑い合った。
練習どうなっても知らないから
という言葉に
心配しなくても大丈夫
そう返す。
珍しく話し込んだ私とドヨンさん。
時計の長い針が12時をさして
時間経過を知らせる音。
その音がリビングに鳴り響いた時
途端廊下と繋がるドアが開いて、
より賑やかになったのは
まだ日が昇ってない 午前4時。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。