You side
あれから何分、
いや、 何時間が経った?
少し開けたカーテンから差し込む光が
どんどん少なくなって
練習室で輝く間接照明の光が
1層強く輝き出す。
音源を垂れ流していた私のスマホも
もう電源が落ちようとしていた頃。
私はこの
1人静かで、無機質な練習室に寝そべった。
誰に問いかけたのか分からない。
ただただ、この空間に私の声が木霊するだけ。
もうどうしたらいいのか分からない。
頭が回っていないだけかもしれないけど
きっと寝起きだって、
コンディションが良くたって、
この状態は変わらない。
分からないまま。
ただ漠然とするこの気持ちに
涙が出そうになるのも
理由なんて、わかんない。
Yuta side
空気が張り詰めるこの一室。
思う、俺も。
ジョンウが言う通りだと思う。
でも、
ここにくる実力があったなら。
エアコンから流れる冷たい風が
ツンと肌を刺激する。
ひゅう 、なんて冷たいその風は
空気だけでなく、
俺らの心までも冷やしていった。
Yuta side end
ただただ、鏡に映る9人は、
いつにも増してぐったりしていた。
その時、首を上げていたのは
鏡を見ていたテイルだけ。
そんな状況の中、
俯いたまま
被っていた帽子を外して
ジェヒョンは口を開く。
そんなド正論に場は一瞬にして凍った
ジェヒョンの放った正論に
答えることの無い、ただツンとした空間。
エアコンの音が響き渡るこの一室。
皆、分かっていた。
分かりたくない者も、
分からざるを得なかった。
今、どうしたら状況が良くなるか。
一刻も早く今の状況を打破し、
前の様に、グループを安定させて行くには。
どうしたら、良いのか。
そんなの、
最善の決断 を下すには。
彼らにとって
1つ 。
たった1つしか、無かった。
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↪︎♡40
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。