それで俺は全部話した。
なぜキャバクラに入ったのか、そして何をしたのかを覚えてないと。
そしたらあなたはニコッと笑って。
俺はなんで笑ってるのか分からなかった。
俺が固まっているとあなたの手が俺の方に伸びてきた。
気づくと彼女の胸に抱かれてた。
しばらくあなたの匂いを感じてたらあることを思い出した。
それで俺は彼女から離れて、彼女の黒くて純粋な目を見つめる。
そしたら彼女は
飲み物とってくるね、と逃げようとしてるのがバレバレだったので
俺は手首を取ってこれでもかと詰め寄った。
彼女の足を俺の足で挟み、真っ直ぐに彼女を見た。
すると彼女は耳まで真っ赤にしながらも
観念したのか全てを話してくれた。
それは翔さんを庇うような言い方でまるで全ての非が自分にあると言っているようだった。
前の俺なら、一発で翔さんを怒って、2人に嫉妬心むき出しだっだろう。
でも、今は違う。
俺はあなたの全てを知ってると思うし。だから嘘つくときの癖だってすぐ見破れた。
それに俺、翔さんに全部聞いたから知ってるからね??
まるで子供をあやす様に俺はあなたの背中をトントンした。
胸の中で彼女は何回も"好き"と言ってくれたから
"俺も"って全部に返した。
そしたらへへっって笑うもんだから可愛くて
抱きしめる力を強めるんだ。
静かな寝息が聞こえてくるまで
そこまで時間はかからなかった。
彼女の可愛い寝顔を見て、俺も安心したのか眠気が襲ってきた。
白くて暖かい光が2人を優しく包んでくれる。
床で抱き合って寝ている2人の笑顔はとても幸せなものだった。
2人は夢の中でも一緒に居るのだろう。
起きるのはまだまだ先のことである。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。