第27話

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2022/01/22 00:00
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天野「あたしね、両親と四つ下の妹との四人家族だったの。」



『えっ、』



天野「笑…驚いた?」



『…うん、』




確かにあなたはお母さんと二人暮しって言ってた


何かあったのかと思ったけどやっぱりそうなんだ…




天野「天野家は仲が良くてなんて言うかいい意味で普通の家族だった。毎年必ず旅行に行ったり、ご飯は必ずみんな揃って食べる。あたしはこの家族が大好きだったんだ。」


「それであたし達はある日お出かけに行ったの。珍しく車じゃなくて電車で。すっごく楽しかった。でも、これが最後の思い出になった。」


「帰り。あたし達が乗った電車はハイジャックされた。どのくらい電車の中にいたかな…体感は凄く長かった。警察も到着したけど中に乗客がいる以上突入はできなかった。そんな中犯人が動いた。 ”全員ここから出ろ…” そんな事を言い放った。なんでこんなこと言ったのかは分からなかったけど、やっとこの緊張状態から解放されると思うと安心した。」


「でも、安心したのもつかの間。最後にあたし達が降りようとした時 ”ただお前ら四人は残れ…” やっと降りれると思ったのにまた緊張状態に逆戻り。そしたらお父さんが… ”人質なら俺がなる” そう言ったの。でも犯人はダメだって、お父さんはずっと犯人を説得してた。考えた末犯人は家族の内大人と子供を一人づつ人質にするように命じた。子供の生贄はあたしだろうって覚悟を決めてたらお父さんが ”あなた…お母さんを頼むな” ってこの言葉を最期にお父さんと妹は亡くなった。」



『…てことは、ここは……』



天野「そう、家族で行った最後の思い出の地」


「ごめんね笑…こんな暗い話しして」



『ううん、ごめんね俺も言いにくいこと聞いて…』



天野「全然…いいの、そろそろ現実を受け入れないといけないなって思ってたから。」


「むしろ、向き合わせてくれてありがとって感じ笑」



『無理に笑うなよ…』


『辛いなら素直になれよ。』



ギュッ


天野「…しんたろありがと(涙



















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