第4話

過去
454
2021/10/24 05:28
鬱side



1人の部屋にペンを走らせる音だけが響き渡る

今日渡された書類もそろそろ終わる


鬱先生
鬱先生
今回はどれくらいに提出すっかなー……
鬱先生
鬱先生
次遅れるとさすがにヤバそうだから期限日に出すか………

なんて独り言を言ってみるが、すぐに虚しくなる
唐突な虚無感に襲われ、フラフラと自室を後にし散歩へと出かける


一人でいるといつも考えてしまう

自分は何をしているのか…‪…

なんのために生きているのか……



本当に自分は必要な存在なのか…………



そんなことを考えてしまう






この軍に入ったきっかけはほんとに些細なことだった










(過去)






僕は愛されていたかった

親や友達もいたし、それなりにモテていて女に困ったことも無い
それでもなにかが足りなくて
色んな女と付き合ったり、時には人を騙して遊んだり
色々な事をやった
だが、満たされることは無かった

常にどこか虚無感が付きまとい、ふとした時に悲しくなる
僕はこの感情がなんなのか、どうすれば無くなるのか、
無くなることはあるのか
何もわからなかった

故に何事にも無気力で無関心だった

そんないつもどうりのある日の事だった

昔からの友達だったグルッペンに
グルッペン
グルッペン
一緒に国を作らないか?
と、誘われたのは

正直僕はバカバカしいと思った

国なんてそう簡単に作れるものでは無いし、もし仮に作れたとしても他の国に即潰されて終わりだ
実に非現実的すぎる

だがそんな馬鹿げたことに惹かれてしまっている自分もいた
それに、誰もが無理だと思うことをやってのけてしまうのがこのグルッペンという男だった

内心とてもドキドキしているのを抑えつつ、
鬱先生
鬱先生
僕がそんな非現実的で馬鹿げたことに乗るとでも?
鬱先生
鬱先生
そんなことをするくらいならこの国の女を全て抱く方が僕は有意義に感じるがね
と、返す

これも本心ではあるため、嘘をついている訳では無い………

だがさすがはグルッペンと言うべきか、
僕の考えはお見通しだとでも言うように、「フッ」と鼻で笑いニヤニヤしながらこういった
グルッペン
グルッペン
そうかいそうかい
君がそういうのならしょうがない
グルッペン
グルッペン
だが、国の幹部様ともなれば今以上に女がよってくるのではないか?

これまでに見たことの無いような絶世の美女まで
グルッペン
グルッペン
第1、俺は君を必要としている
グルッペン
グルッペン
お前が来てくれれば最高の国を作れると思うのだがな……
「必要としている」
ただの誘い文句だ
そう分かっているのに、何故か惹かれてしまう
ほんとにそう思われているのかもと期待してしまう
そんな自分がいて、気がついたら
鬱先生
鬱先生
わかった
そこまで言うならその話に乗ってやろう
鬱先生
鬱先生
ただし、少しでも僕が無意味だと感じたらすぐに辞めさせてもらう
そう答えていた

自分でもなぜ承諾してしまったのかイマイチ理解できない
だが、そう答えた瞬間のグルッペンの嬉しそうな顔を思い出すと、案外悪い選択ではなかったのではと思う

結局僕も身内には甘いってことか……‪‪w‪w










そんな感じで昔のことを思い出しながら歩いていると、不意にインカムから声が聞こえた
グルッペン
グルッペン
『鬱先生、至急総統室に来るように』
なんだ?
今日はまだやらかした記憶はないが………

とりあえず行ってみるか

そうして僕は特に焦ることも無く総統室へと足を進めた

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