鬱side
1人の部屋にペンを走らせる音だけが響き渡る
今日渡された書類もそろそろ終わる
なんて独り言を言ってみるが、すぐに虚しくなる
唐突な虚無感に襲われ、フラフラと自室を後にし散歩へと出かける
一人でいるといつも考えてしまう
自分は何をしているのか……
なんのために生きているのか……
本当に自分は必要な存在なのか…………
そんなことを考えてしまう
この軍に入ったきっかけはほんとに些細なことだった
(過去)
僕は愛されていたかった
親や友達もいたし、それなりにモテていて女に困ったことも無い
それでもなにかが足りなくて
色んな女と付き合ったり、時には人を騙して遊んだり
色々な事をやった
だが、満たされることは無かった
常にどこか虚無感が付きまとい、ふとした時に悲しくなる
僕はこの感情がなんなのか、どうすれば無くなるのか、
無くなることはあるのか
何もわからなかった
故に何事にも無気力で無関心だった
そんないつもどうりのある日の事だった
昔からの友達だったグルッペンに
と、誘われたのは
正直僕はバカバカしいと思った
国なんてそう簡単に作れるものでは無いし、もし仮に作れたとしても他の国に即潰されて終わりだ
実に非現実的すぎる
だがそんな馬鹿げたことに惹かれてしまっている自分もいた
それに、誰もが無理だと思うことをやってのけてしまうのがこのグルッペンという男だった
内心とてもドキドキしているのを抑えつつ、
と、返す
これも本心ではあるため、嘘をついている訳では無い………
だがさすがはグルッペンと言うべきか、
僕の考えはお見通しだとでも言うように、「フッ」と鼻で笑いニヤニヤしながらこういった
「必要としている」
ただの誘い文句だ
そう分かっているのに、何故か惹かれてしまう
ほんとにそう思われているのかもと期待してしまう
そんな自分がいて、気がついたら
そう答えていた
自分でもなぜ承諾してしまったのかイマイチ理解できない
だが、そう答えた瞬間のグルッペンの嬉しそうな顔を思い出すと、案外悪い選択ではなかったのではと思う
結局僕も身内には甘いってことか……ww
そんな感じで昔のことを思い出しながら歩いていると、不意にインカムから声が聞こえた
なんだ?
今日はまだやらかした記憶はないが………
とりあえず行ってみるか
そうして僕は特に焦ることも無く総統室へと足を進めた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。