グルッぺンに呼び出され、総統室へと向かう。
本当はもう少し急いだ方がいいのだが、あまり早すぎるのも僕らしくない。
まぁ総統室に近づいてきたら急いでる感を出せばいい。
―グルッぺンside
[総統室]
鬱を呼び出して10分ほど経つが、未だ現れる気配はない。
隣ではなかなか現れない彼に痺れを切らしたトン氏がイライラしている。
確かに鬱は書類を受け取り部屋へ戻って行ったが、常に部屋にいるとは限らない。
いくら叱られたばかりとはいえあいつにそんな集中力があるとは思えないしな。
なんてことを話していると、ガチャとドアが開いた。
―鬱side
総統室の前に着く
中からは僕の到着が遅いことに怒るトントンと、それを宥めるグルッぺンの声が聞こえる。
僕はさも急いできましたよと言う感じを演出しながら乱暴にドアを開ける。
そこにはグルッぺンとトントン、そして何故かロボロがいた。
入った瞬間トントンからの叱責が飛んでくる。
グルッぺンとロボロが視界の端で苦笑しているのが見える。
こりゃ相当ご立腹ですな。
……適当に流しておくか。
チラッとロボロに視線を向けながら問う。
グルッぺンは机に肘をつき顎に手を添えながらその視線に目を向ける。
ロボロはよく監視室で軍を監視している。
なにか僕関連のことがカメラに映っていたのだろう。
まぁ、粗方予想はつくが……
そうして見せられたのはある静止画で、そこには朝僕の陰口を話していた一般兵4人と、少し離れたところに書類を持った僕が映っていたいた。
やっぱりな、と思いつつ僕はとぼけてみせる。
そう言ってロボロは動画の再生ボタンを押した。
画面には僕の悪口を言い合う一般兵とその近くをゆっくりと歩いていく僕の映像が流れた。
少しとぼけつつ煽ってみる
だが、ロボロは何も言わず、神妙な顔持ちでじっと再生し終わった画面を眺めていた。
グルッぺンに問いかけられロボロはやっと口を開く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!