校門を出て、駅近くまで真っ直ぐな道を二人で歩く。
私達は、家が近いらしく、帰り道はほとんど同じ。
...隣を見れば、私より15センチは高い、天宮くんがいる。
横顔も、かっこいいなぁ...
肌も綺麗...化粧水とか使ってたりするのかな?
目はぱっちり二重で少しつり目。
クールな印象があるけど、みんなからは爽やか王子として親しまれてる。
...天宮くんが爽やか?
爽やかというか...ツンデレなクールって感じがしない?
もしかしたら...冷たくしちゃうくらい、私に興味がないのかも。
...ん?そしたら、一緒に帰ろうだなんて言わないよね?
「...おい、何百面相してんだよ。」
ほら、爽やかなんて真っ赤な嘘。
天宮くんは、クールだよ。
「ひゃ、百面相なんてしてないもん!」
天宮くんの顔を、下から少し睨んだ。
すると、なぜか照れたような仕草をして、少し冷たく言う。
「っ...あっそ。」
...耳たぶがちょっと赤くなってる。
天宮くん...可愛いです。
こんな事口に出したら、「は?バカにしてんの?」って言われちゃうから、絶対言わないけどね。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
それからは、自分がやってた委員会を言い合ったり、お互いに質問しあってた。
天宮くんの事がたくさん知れて、すごく嬉しかったよ!
一番聞いて驚いたのは...4人の妹がいるって所。
天宮くんが面倒みいいのは、妹さん達の世話を妬いてるからかな?
そうこうしてるうちに、私の家に着いた。
本当は、もっと手前に天宮くんの家があるんだけど、「送る。」って言われて、お言葉に甘えた。
...なんだかんだ、優しい天宮が好きです。
“天宮くんが好き。“
私の心が、この気持ちで溢れる。
誰もいない所で、天宮くんへの気持ちを叫びたい、なんて変なことまで考えちゃう。
「天宮くん、送ってくれてありがとうね!」
「うん。」
「じゃあ、明」
「っっ佳莉ーーーー!!!!!」
“じゃあ、明日ね!“
天宮くんにこう告げようとした矢先に、私の声なんてかき消すくらいの大声によって、阻まれた。
...あれ? 佳莉って言ってた?
「...っおーい、佳莉!!!!」
声がする方を向く。
するとそこには...
「え...っっ流星くん!!!?!?」
「久しぶり、佳莉!」
なんと...上京した、5歳上の幼なじみがいた。
坂下流星(さかしたりゅうせい)。
約5年ぶりの再会に、思わず流星くんに駆け寄りハグをした。
幼なじみというか、一人っ子の私を、妹のように慕ってくれて、それが嬉しくて...
一言で言えば、「お兄ちゃんのような存在」かな!
「なんで...流星くんがここにいるの?」
「大学を卒業して、学べること学んできたから、こっちで就職しようと思って。」
「...どうしよう...すごい嬉しい!!!」
って事は、こっちに住むってこと!?
また、流星くんと一緒にいられるんだ...!
まさかの再会に、胸を踊らせていると、後から殺気を感じた。
...もしかして...
「...おい。」
.....その、もしかしてですよ。
天宮くんを放置してましたぁ!!!(汗)
「...俺、帰っていいか。」
いつもに増して不機嫌な天宮くん。
そりゃ、長い間放置されてたらそうなるよね...
「ご、ごめんね!...また明日ね!」
すると、返事もせずにスタスタと通ってきた道を戻っていた。
「...彼、すごい不機嫌だったじゃないか...」
「流星くんがいて、びっくりしてたら天宮くんのこと忘れてた...」
「...抜けてるところも変わらないな。」
「うん...。
って、なんで戻ってくること教えてくれなかったの!?」
「いやぁ、サプライズにしておこうって母さん達がさ。」
「そうなのね...
...流星くんおかえり!!!」
「...っただいま、佳莉!!!」
※ブラコンじゃありません。
(↑ここ重要!!!)
流星くん...髪伸びたなぁ。
背も少し高くなった?
...5年って大きいよね。
大学生になったら、ここを離れて上京する人、いるんだろうな...
...ど、どうしよう
天宮くんが上京して遠いとこ行っちゃったらどうしよう!!!
…上京だなんて、全然考えてなかった。
天宮くん頭良いし、そういう可能性だってある。
勝手に想像を膨らませる私を見て、流星くんが
「...もしかして、佳莉の好きな奴って、天宮くんって言ってたさっきの人?」
「なんで分かったの...」
流星くん...上京して、超能力者にでもなったの?
「何年一緒にいると思ってんだ!」
「それだけで分かるもんなんだー?」
「もちろん、ドヤ!」
「ちょっとうざーい」
「なん、だと!?」
「「ぶふぉw」」
こういう所、まんま流星くんだなぁ。
「改めて、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ!」
...何だか、楽しくなりそうです!
...この時の私は、知らなかった。
思わずしてしまったハグが、誤解を招くことになるなんて...
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。