第6話

#5
360
2018/03/04 14:48
その後、休み時間に何度か声をかけたのに...全部無視。


...泣きそうです。







一度も会話することなく、放課後を迎えた。





「な、奈由ちゃぁぁん!!!!」




イケメンマスター(仮)の奈由ちゃんに、昨日あったことを大まかに説明した。





「...って事なんだけど、どう思う?」




すると、奈由ちゃんは勝ち誇ったような顔でこっちを見る。




「...私が言ったら、意味ない。自分で気づくべし!!!」



「っえー!!!っそんなぁ...」



「...じゃあ、一つだけ教えたげるわ!
...天宮くんは、佳莉のこと嫌ってないよ。

むしろ...」



「よ、よかった!!!」



嫌ってないと聞いて、思わず叫んでしまい、クラスメイトに見られたらが、気にしない。


奈由ちゃんが何か言おうとしてたけど、まぁいっか。



「...佳莉、今すべきことは?」



「天宮くんと、話す!!!」



「うん...そうなんだけどね、謝るって目的で話すんだよ?」



「もちろん!」



「じゃ、先帰ってるよ〜」



このまま話せないなんて、絶対嫌。



…彼が、私を嫌ってたとしても、私は何度でも当たって砕ける。





「...あ、天宮くん!」



彼の席に近寄り、少し上ずった声で名前を呼んだ。



...振り返った彼の目は、少し冷たかった。






「...何?」



「あ、あの...ちょっとお話したいから、空き教室行かない?」



「...ここで話せば。」



「こ、ここじゃ話したくない。」



「...なら、行かない。」



...何、この人。



...ふつふつと、私の心に「怒り」という感情が湧いてきた。


今の天宮くんは、行きたくないと駄々をこねてる子供だ。







「...行かない、じゃなくて、来てって言ってんの。」



いつもより低めの声が出て、天宮くんも少し動揺しているようだった。




.........やっちゃった。





でも、ようやく席を立った天宮くんを見て、「たまには立場逆転もいいかも」なんて思い始めた頃だった。






☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..





二人で教室から一番近い、空き教室に入った。



沈黙が、私達を気まづくさせる。



...昨日まで、仲良く帰ってたのになぁ...






「...で、何?」



不機嫌な顔をした天宮くんが言う。



「...えっとね...私、天宮くんに何か悪いことしちゃったかな?」



「…んなの、自分で考えろよ。」



「...分からないから、聞いてるんだけど。」



「...じゃあ分からないままでいい。」



「...何それ。」



「...もうお前とは喋れる気がしない。」



「...だから、どうしてそうな...」

「…お前に彼氏がいたの知んなくて、帰ろうとか誘ってごめんな、んじゃ。」




...は?



私、彼氏なんていつ作ったっけ。



天宮くん、彼氏とか言ってたよね?


その時、私の中には誤解されるような、とある一つの行動が浮かんできた。









...もしかして、あのハグのせい?




だとしたら、辻褄が合う。


あの時は、思いっきり抱きしめあってたし、天宮くんのことを忘れちゃうくらい喜んでた。




...多分私なら、天宮くんが女の子とハグしてたら、彼女って疑う。




やらかしちゃった...(2回目)





...でも、きっと大丈夫。



話せば、分かってくれるよね?




「っま、まって!」



扉に手をかけていた天宮くんをすかさず止めた。



「...まだあんのかよ。」



「私、彼氏いないからね?」








「...は?
...じゃあ、昨日の抱き合ってた奴はなんなの?」



「上京して、5年ぶりに戻ってきた幼馴染だよ。」



「.....まじか。」



「...まじです。」



「...でも、目の前で抱きつかれるのはムカついた。」



「...あの時は、気持ちが高ぶってて調子に乗りました...」



「...お前は、俺だけを見てればいーんだよ。」




……何、この俺様発言。



自己中心的な発言なはずなのに...


どうしてこんなに胸が高鳴るんだろう。







天宮くん、心臓に悪いです。



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆




誤解(?)が解け、昨日と同じように家まで送ってもらった。



その後、流星くんに「ラブラブー!!!」と茶化されたことは...天宮くんに絶対言えません。

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