第9話

#8
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2018/03/05 15:08


───ついに、卒業式当日。



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あれから、天宮くんとは何も話してない。


...どちらからも、目を合わせようとしないし、見ようともしない。





...両思いに、なれたはずなのに

どうして離れていってしまうんだろう。





...好きだけど、彼女にするにはまだ足りないのかな?







...天宮くんが、分かんないよ。









そうこう考えてる間に、卒業式開始まで10分を切った。



まだ式は始まってないのに、みんな号泣してる。



それにつられて私も泣きそうになるけど、メイクが崩れるから我慢した。









...この光景とは、もうおさらば。









きっと、この教室に入ることはもうない。




クラスメイトが集まるのも今日が最後。




「高校生」という一つの節目が終わる。



...私達はそれぞれ、違う道を歩むんだ。








悲しいはずなのに、頭の中は天宮くんのことでいっぱい。




けれど、そんな彼は、いつもと変わらずにみんなに別れを告げている。









……せっかくの卒業式なのに、こんなにもギクシャクしてるのはどうしてなの?



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「これより、第49回 卒業証書授与式を始めます。」



理事長の言葉で、卒業式が始まった。








...あいにく、名前順だから、天宮くんは私の隣の席だ。



それでも、私達は全く目を合わせていないし、喋っていない。



長い長い理事長の話が終わり、今まで苦痛だった話も、今じゃ最後ということを寂しく感じる。















───そして、卒業証書授与が始まった。




...これを貰えば、私は高校生を卒業したことになるんだ。



3年間、長かったようですごく短かった。



当たり前に過ごしていた一日一日の高校生活に、終わりが来るなんて、知ってたようで全然分かってなかった。





「相原」さんが終わると、次は天宮くん。








卒業証書を貰おうと、天宮くんが席を立った






















...瞬間だった。













隣で、「ドスンッ」と鈍い音がし、そこを見ると...天宮くんが倒れてたんだ。








何が起こったか、分からなかった。









もしかしたら、ただの貧血かもしれない。











...けれど、私の心は、嫌な捉え方をしてたんだ。











「...天宮くん?...ねぇ、天宮くん、しっかりして!」





ギクシャクしてたことなんて忘れて、ただただ「天宮くん」と名前を呼んだ。









すぐに救急車が来て、天宮くんが運ばれていった。






「...っすみません、付き添ってもいいですか?」








何も考えずに、担任にこう告げた。







「...心配なのは分かるが、今は卒業式だ。
天宮ならきっと大丈夫。
...泉は、最後まで出なさい。」









...確かに、先生の言う通り。



















だけど、どうしても...








今行かなきゃ行けないような気がした。














「...すみませんっ!!!
最悪、留年でいいです...っだから、行かせてください!」






先生の返事を聞く前に、救急車の方へ走った。






異様な倒れ方をした天宮くんをほって、卒業式なんて続けれるわけがない。








...倒れることは、人間なら数回経験するかもしれない。









……だけど、怖くてたまらない。









もしかしたら、天宮くんが遠くに行ってしまうんじゃないかって。









……だから、行動しないより、して後悔しようって思ったんだ。






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点滴に繋がれている天宮くんを見る。




その顔は...とても苦しそうで、























...ただの貧血じゃないことは、目に見えてた。










コンコン





病室のドアが開かれる。










「...天宮さんの、付き添いの方ですか?」



白衣を着た、医者の方が尋ねてくる。







「...はい。」





「...ご家族が不在なので、あなたに申し上げます。

...心して聞いてください。」





胸がいつもとは違う感じでバクバクした。

額からは汗が吹き出る。





...嫌な予感しかしなかった。






















































「...天宮さんは、いつ亡くなってもおかしくない状況です。」














「...え...」






頭を殴られたような痛みに襲われ、ふらついた。







「...もって、あと2日です。」




















そ、んな...








...誰か、嘘だと言って...










っだって、昨日まで元気にしてたよね...?










こんなことって...






...っなんで...、どうして、天宮くん、なの?










...私は、その場にうずくまり、泣き崩れた。






「...彼は、元々寿命が長くないことを知ってて、治療を受けようとしませんでした。

そんな彼は、「どれだけ時間が短くても、今まで通り過ごしたい」って言ったんです。」






















.......そっか、みんなに隠してきたんだね。








死を受け入れる覚悟ができなくて、怖かったよね...

自分だけ、置いてかれるような気がして寂しかったよね...

みんなより、長く生きれないとして、たくさん泣いたよね...









つら、かったよねっ...!









...ごめんね、力になれなくて。








...辛い思いさせて。







「お前の彼氏にはなれない」




って、私のためを想って言ってくれたんでしょ?






...きっと、いつまでも引きづるって知ってたから。

















...天宮くんは、未来を見据えてたんだ。













...最後に一つだけ、わがまま言ってもいいですか?







一生のお願い使うから。











だから、もう一度だけ、















...天宮くんと...お話させてくださいっ...!

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