落ち着いているように装って類との電話を切ったつくし。
だが、頭の中はパニック状態だった。
これからフラれるんだから服は適当でいいや、と、グレーのパーカーにジーンズという格好で外に出る。
階段を降りて下につくと、前の花壇に腰かけている花沢類の姿が。
つくしに気づいた類が立ち上がる。
緊張しながら類のところまで進むと、
類が例の箱を取り出す。
と、≪アレ≫の意味を確認させられ、
と言われ、
これから来るであろう言葉を想像して、うつむき目をぎゅっとつぶる。
ふぅっと息を吐く音がしたかと思うと、
と呼ばれ、その声にその名前を呼ばれたことに驚いて顔を上げると、唇に温かい感触が触れていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。