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第25話

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2021/06/20 11:00



今日は3人でショッピングモールへお出かけ。



『これ可愛い、あ、これも!』

照「俺はこっちのがえぇなぁ」



特に何も目的もなく来たけれど、目に映るのは璃子の為の洋服やおもちゃばかり。

しかし、当の本人は抱っこ紐の中でぐっすり。



照「重くない?変わろっか」

『大丈夫。照史こそ璃子の荷物たくさん持ってるんだから』



オムツに、おしりふきに、ミルクに水筒、哺乳瓶、授乳ケープに万が一の着替え…お出かけひとつにも大荷物。



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照「あ、これ、雑誌で見たやつやわ」



買い物中に照史が見つけたのは、ブランド物の帽子で、彼の趣味どストライク。目がキラキラしている。



『被ってみたら?』

照「ええの?ちょっと行ってくるわ!」



雑誌のワンショットが印象に残っているものなら、きっと照史が欲しいものなのだろう。

でも何故かいつも遠慮がちで、言葉は遠回し。



『パパ帽子似合うねー、璃子』

璃子「あぇー」

『帽子買っちゃえばいいのにねー?』



お目覚めでご機嫌の璃子に語りかけながら、試着してワクワクしている照史に声を掛ける。

その後すぐに「ちょっと買ってくる」なんて、急ぎ足だった照史の姿に思わず吹き出してしまった。



_



照「あなたは、ほしい服とかは?」



帽子を買って、早速被り直した照史がわたしに聞いてくる。



『わたし?…んー、今のトレンドとかもよく分からないし、これといって思いつかないかな、』



璃子が生まれて、彼女中心の生活になり、
日々子育てに追われる中で、自分のことは二の次、三の次になっていた。

照史の隣を歩く身としては
清潔感だけは守っているけど…

自分が働かず、家計を管理する身となっては、自分にかけるお金もシビアになっている。



『わたしのことはいいよ、ほら、次見に行こ?』

照「え?ちょ、」





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それから数日して、
照史が両手に紙袋を提げて帰ってきた。


照「あなた、ちょっと見てー?」



照史にそう呼ばれ、料理をしていた手を止めて、リビングに荷物を下ろす照史のそばに向かった。

紙袋の1つは、わたしの独身時代からの行きつけのショップのショッパーだった。



『どうしたの、これ』

照「もー、女もんの店に入るん、めっちゃ緊張したわ。神ちゃん道連れにしたけどな。笑」



照史が紙袋を開くと、わたし好みのワンピースや、動きやすそうで、でもオシャレなシャツやスカート、パンツが入っていた。



照「いつも璃子んこと最優先にしとるけど、あなたも、もっとわがままでええと思うねん」

『そんな事ないよ、十分甘えさせてもらってる』

照「全然やで?…やからね、俺セレクトやけど、ちょっとしたプレゼント、かな?」



ほら着てみて!って
背中を押され、クローゼットに強制連行。

どれも、今のわたしにピッタリサイズで…



『照史、どうしてこんなサイズ分かってるの』

照「そんなん、あなたのこと一番愛しとるから、すーぐわかんねん」



そう言うと、いたずらに笑う。

それが何より嬉しくて、思わずぎゅっと照史に抱きついた。



『ありがとうっ』

照「いーえー、今度はそれ着て出掛けような?」



変わり映えしなかったわたしのクローゼットの中が、少しだけ鮮やかに、明るくなった気がした。


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