ホームルームが終わって、職員室に行こうとしたとき。
後ろから呼び止められた。振り返ると、及川くんと岩泉くんがいた。
首を傾げて聞くと、どこか言いにくそうな顔で及川くんが切り出した。
私が通っていた小学校の名前を言い当てられてしまい、とても驚きながら返せば、及川くんの顔は明るくなる。
思わず所に自分の後輩が居るもんだなぁ……確か中学校も一緒だよね?ある意味運命かも?笑
また言いにくそうにする及川くん。私は、及川くんの次の言葉を待つ。でも、次の言葉は、余計驚くことで。
嘘でしょ!?びっくりするけど、必死に思い出してみる。
及川、徹。岩泉、一。とおる?はじめ?
思い出した!とおるちゃんとはじめちゃんだ!
盛り上がってる時、私はあの出会いのことを思い出していた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!