真緒side
木の影に手をつなぎながら頭を寄せて寝ているふたりが見えた。
『衣更先輩が知ったような事言わないでくださいっ...』
『先輩に私の何がわかるんですか』
わなんないよ、そんなこと。
高校からはほぼ男子校みたいなもんだし、
女子との絡みなんて妹とあんずくらいで
女の気持ちどころか接し方もわかんない。
あなたは歳も一個下だし、妹みたいで可愛いって思ってた。
最初は何か抱えている子なんだなって思った。
無理に聞き出すのも良くないと思い、自分から聞くことは無かった。
でも、凛月と関わるようになって
そのなにか抱えてそうという雰囲気が無くなった。
気づいたらあなたは凛月のそばにいた。
正直凛月があなたのこと好きなのも薄々感じてたっつーか...なんというか。
でも、俺は2人とも好きだ。
だから祝福するべきなんだと思う。
けど、耐えられないくらいに胸が苦しい。
...今更言っても遅いだけ。そんなのわかってる。
俺は無意識のうちに涙を流していた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。