第13話

愛情
35
2019/03/18 06:23
雨宮 澄人
菜乃花っ!
澄人は、菜乃花の姿を見つけると、息を切らしたまま、叫んだ。
橘 菜乃花
…え、澄人?
菜乃花は、その声に、振り向く。
雨宮 澄人
菜乃花、話したいことがあるんだ。
橘 菜乃花
…何?
怪訝そうな顔で自分の方を見る菜乃花に、澄人は、まっすぐな視線で、なんの躊躇もなく、良い放った。
雨宮 澄人
好きだ。
菜乃花は、戸惑う。
橘 菜乃花
…え?
雨宮 澄人
好きだ。
菜乃花のことが、大好きだ。
愛してる。
橘 菜乃花
ちょっと待って、急にどうし…
雨宮 澄人
俺、ずっと!
ずっと、こう思ってたんだ。
菜乃花の未来に俺はいないから、菜乃花のことを、この先、幸せにしてやれないって。
橘 菜乃花
…。
菜乃花は、黙って、澄人の言葉を聞いていた。
雨宮 澄人
でも、さっき、西崎に言われて、気づいたんだ。
橘 菜乃花
春斗くんに…?
雨宮 澄人
あぁ。
俺は、未来の菜乃花の事は幸せに出来ないけど、でも!
今の菜乃花の事は、幸せにできるんだって!
橘 菜乃花
…澄人!
雨宮 澄人
好きだよ、菜乃花。
愛してる。
俺は、精一杯、今の菜乃花を幸せにする。
死ぬまでずっと!
だから…
雨宮 澄人
だから、俺を、菜乃花のとなりにいさせてください!
橘 菜乃花
…はい、もちろんです!
そう言うと、菜乃花は、笑った。
心からの、笑顔で。

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