橘 菜乃花
(澄人くんっ
どこだ、澄人くんっ)
西崎 春斗
橘さん…!
ど、どうしたの?
こんなところで…。
橘 菜乃花
澄人くん!
澄人くんどこ?!
西崎 春斗
えっ…、雨宮なら、多分屋上じゃないかな?
外の空気を吸いたいって言ってたから。
橘 菜乃花
ありがと西崎さん!
西崎 春斗
え、あ、うん。
西崎 春斗
あのっ
春斗の声も聞かず、
菜乃花は、屋上へ走った。
ただ、ただ、走った。
橘 菜乃花
すっ澄人くん!
屋上へつくと、そこには澄人の姿があった。
澄人は、驚いたように振り向いた。
雨宮 澄人
菜乃花ちゃん…
菜乃花は、息を切らしながら、声を絞り出すように喋った。
橘 菜乃花
澄人くんっ!
なんで私を避けるの?
雨宮 澄人
それは…。
橘 菜乃花
お願い、教えてっ!
澄人は、顔を暗くして俯いた。
そして迷ったように数秒黙ると、覚悟を決めた表情で、顔をあげた。
雨宮 澄人
嫌いに…なった。
橘 菜乃花
…え?
雨宮 澄人
嫌いになったんだ!
菜乃花ちゃんの事!
橘 菜乃花
うそっ!
嘘なんでしょ?
ほんとはっ…
雨宮 澄人
嘘じゃない!
橘 菜乃花
ほんとは、病気なんでしよ!?
雨宮 澄人
えっ…。
澄人は、目を丸くした。
そして、力が抜けたように、その場にしゃがみこんだ。
橘 菜乃花
…どんな病気なの?
雨宮 澄人
…病気の事、なんで知ってるの?
橘 菜乃花
クラスの人が、そうなんじゃないかって。
雨宮 澄人
そう…。
橘 菜乃花
治らないの?
雨宮 澄人
白血病でね。
治らないよ。
橘 菜乃花
白血病…。
雨宮 澄人
うん。
余命は3ヶ月。
橘 菜乃花
3ヶ月?!
そっ、そんなの…。
そんなのって……。
雨宮 澄人
仕方ないんだよ。
橘 菜乃花
もしかして、中学の頃、突然いなくなったのって…。
雨宮 澄人
うん。
治療のため。
橘 菜乃花
そうだったんだ。
雨宮 澄人
嫌いなんかじゃないよ。
本当は、好きだよ。
大好きだよ。
避けたくなんてなかった。
橘 菜乃花
だったらどうして……。
雨宮 澄人
もし、俺が!
菜乃花ちゃんの中で、大切な人になったら、菜乃花ちゃんを悲しませることになる。
…分かるだろ?!
橘 菜乃花
じゃあ、避けることは、悲しくならないとでも…?
雨宮 澄人
もちろん、悲しむと思ったよ。
でも、それで、俺の事を嫌いになってくれたら!
そしたら、俺が死んでも、悲しくないだろ?
何も思わないだろ?
橘 菜乃花
そんなわけない!
嫌いになんて、なるわけないじゃん!
雨宮 澄人
……。
橘 菜乃花
私だって!
私だって、澄人くんの事、大好きなのに!!
雨宮 澄人
菜乃花ちゃん…。
橘 菜乃花
ねぇ、私に、何か出来ることはないの?
雨宮 澄人
ありがとう。
でも…何もないよ。
菜乃花ちゃんだけじゃない。
他の誰にも、僕自信にも、できることなんてないんだ。
もう、どうしようもない。
橘 菜乃花
だったらせめて、そばにいさせて?
雨宮 澄人
え…?
橘 菜乃花
澄人くんのそばにいて、元気付けたり、勇気づけたりしたい!
私に…出来るか分からないけど。
でも、それでも、澄人くんのそばにいたい。
雨宮 澄人
ありがとう…。
菜乃花ちゃん、ありがとう。
橘 菜乃花
澄人くん、私と付き合ってくれませんか?
雨宮 澄人
菜乃花ちゃんを、悲しませることになっちゃうよ?
本当に、本当にそれでもいいの?
橘 菜乃花
いいよ。
悲しむ。
悲しんで、前を向く。
だって、澄人くんとの毎日は、きっと、私の一番の宝物になるから。
雨宮 澄人
宝物…。
橘 菜乃花
それに、奇跡が起こるかもしれないし!
雨宮 澄人
そうだね…。
橘 菜乃花
私、きっとこの先も澄人くん以外は好きになれないから。
雨宮 澄人
ありがとう。
好きだよ。
大好きだよ、菜乃花ちゃん。
橘 菜乃花
えへへ、菜乃花って、呼んでほしいな?
雨宮 澄人
菜乃花…?
アハハッ、なんか恥ずかしいな。
橘 菜乃花
澄人…って、呼んで良い?
雨宮 澄人
いいよ。
橘 菜乃花
澄人。
雨宮 澄人
菜乃花。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
雨宮 澄人
あっ
橘 菜乃花
大変、授業が始まっちゃう。
急がなくちゃ!
雨宮 澄人
そうだね。
橘 菜乃花
じゃあ、行こっか!
雨宮 澄人
うん!
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第6話 幸せ
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