第44話

🍝:先生好きです!②
4,572
2021/03/21 22:00






じゃあね、先生。





机の上に置き手紙を置いて、





私は、先生の家を後にした。

















帰りのバスの中で、音楽を聞こうと思い、




私の心のように絡まったイヤホンを取り出す。




気付けば私は、「失恋ソング」と打っていた。




聞くつもりなんか無かったけど、試しに聞いてみた。




backnumberの「幸せ」




一つ一つの歌詞が先生を思い出させる。


























どれくらい経っただろうか。




いつの間にか、曲は終わっていた。




寝てたんだ。




迷惑そうにこちらを見る運転手。




軽く会釈をして、私は自分の家に戻った。




家に入る間近。




握っていたスマホが小刻みにリズムを刻み出した。




画面を見れば、「純喜先生」と表記されている。




気付けば、不在着信15件。




いつもだったら、応答していたかもしれないけど、




今日は、応答拒否のマークを冬の寒さで悴んだ指で




タップした。




何でだろう。




今日はもう、先生と話したくなかった。




ごめんね。




先生。



























翌日








純「おい、宇佐美!昨日何で勝手に帰ったん!」




あなた「すいません。」




純「すいませんじゃなくて、なんでなん!」




あなた「理由は言えません。」




純「はぁ?」




あなた「それでは、」




純「ちょっ、宇佐美!」



















言えないよ、




先生が沙也加さんと話してる声を聞きたくなかった。



なんて。




私が、聞きたかったのは。




終電の時間でも。




沙也加さんの悪口でもなくて。




せめて、昨日のために切った髪に気づいて。




優しい声で、




「似合ってるよ」って。




言って欲しかった。














私は、先生の事を避け続けた。

























次の日も。










純「宇佐美、」




あなた「、、、。」


















次の日も。







純「なぁ、宇佐美、」




あなた「忙しいんで。」





















そのまた次の日も。






純「いい加減に避けるんわやめてえや。」




あなた「、、、。」



















もう耐えられないんですよ。




先生が沙也加さんと話してるところとか。




電話してるところとか。




目で追ってるところとか。




見るのが嫌なんですよ。





でも、




最後に、ちゃんと言わなきゃだよね。





















トゥルルルルル…📞






タイミング良くかかってきた電話。




相手はきっと、純喜先生。




画面を見れば、純喜先生の文字。




ほら当たり。




大正解。


















あなた「もしもし、」





純「お、やっと出てくれた。」




あなた「何ですか、先生。」




純「や、お前は俺の相談とかに乗ってくれてるし、」




あなた「はい、」




純「居残り勉強もしてくれて」




あなた「はい、」




純「その、生徒の中では特別な存在だし、」




あなた「そうなんですか、」















「生徒の中では」




何ですね。




数限りなく居る女性の中では、先生にとって




特別な存在には慣れないんですね。




それでも、嬉しい。




少しでも私が先生の中に居るなら。










純「それでな、」




あなた「先生。」




純「おお、どした。」




あなた「先生、私は。」




純「うん、」




















これで、おしまい。

























もう、終わりにしよう。




























どうせ叶わないんだから。
































いくら願ったって。



































































先生。





純喜先生。





私は。




































「先生の事、嫌いになりたいです。」





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