第3話

③教場ー2
1,489
2021/02/04 10:20
風間「ナイフはイミテーションで鳥羽には演じてもらった。
大事なのはここからだ。
今起きた事を、一部始終を報告しろ
……漆原」

漆原「はい!、えーと、1人がなにか怒鳴って…ナイフを振り回しました。」

風間「もっと詳しくだ。服装は、どんな事を口にした。
……比嘉」

比嘉「はい!警察官の服装をした男が、いい加減にしろよ、とか怒鳴ってナイフで斬りかかりました」

風間「言葉が違う。いつ起きたかも伝えていない。そんないい加減な報告では犯人が逃亡した特定できない。
……忍野」

忍野「はい!……見ていませんでした。」

風間「どうしてだ。」

忍野「……怖くて」

風間「怖いならここを辞めた方がいい。
芹沢、お前は近くにいたな」

芹沢「はい!12時40分頃、警察官の服装を着た男がもう1人の男に、てめぇ!ふざけんなよ、やんのか!コラ!、逃げんな!お前も、俺の事見やがってと言い俺にもナイフを向けて胸あたりを刺そうとしました。」

凄い……

風間「自分との距離は」

芹沢「およそ60cmかと」

風間「君はこの事態をどう対処した。」

芹沢「何もしませんでした。」

風間「なぜ」

芹沢「ナイフを持つ手が荒かったからですし、刺す意味が曖昧すぎるからです。」

風間「殺す動機なんて、大体が曖昧だ。それで実際刺されていたらどうする。」

芹沢「……」

風間「吉村」

吉村「はい!廊下に出て…警察に通報しました。」

風間「君は警察じゃないのか」

吉村「あ、そうでした。お、応援を」

風間「杣、君は」

杣「何も。ナイフが偽物だと分かりましたから。」

あの場所から?どうやって……

風間「確かに偽物だ。だが後出しだと思われるぞ、根拠は」

杣「あんな大きなものをポケットに入れていたのにズボンに着崩れがなく、構えた時も重さを感じませんでした。
ナイフの刃が光に当たった時、反射が一様ではありませんでした。
アルミ膜が覆われていたからです。」

風間「次の質問だ。今の犯人に対してなんという…寺里」

寺里「ナイフを捨てろ」

風間「違う…齋藤」

『はい!持っているものを捨てなさい』

風間「理由は」

『え、えーと…』

事態を悪化しないようにするため…分かってるけど…声に出ない

風間「……橘」

橘「はい!見間違える事があるかもしれないからです。もし、包丁や拳銃なら相手が混乱し事態が悪化するからです」

風間「正解だ」

橘さん、凄いな…私ももっと頑張らなきゃ…

風間「卒業まで6ヶ月手取り足取り教えるつもりは無い。
1聞いたら10を知り自分で行動しろ。
訓練を怠ると現場で命を落とすことになる。
或いは怪我をするかもな、私のように」

え……

風間「授業は以上だ。あとは自習とする」

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