齋藤side
翌日、言われた通り大盛りのご飯を口に運ぶめぐみが私の隣に座っていた
橘「この華奢な体のどこにこの米が送られるのやら...」
堂本「と言いつつ、並な橘さん?
あ、めぐみとあなたは息を吐き出して一気に掻き込む。ここで生き延びるには頑丈な体を作るしかないの」
忍野「分かった」
ふとめぐみの視線が真矢の後ろに回り箸が止まった。
視線の先には新崎教場のあの二人の姿
橘「あー...辞めてなかったんだ」
真矢が立ち上がって威嚇をするとめぐみに目を付けていたものの二人は退散した
忍野「三人ともありがとう...ねぇ、なんで三人は鍛えてるの?」
『んー?考えた事ないなぁ』
橘「私は親が、警察だったからやりざるおえなかったかな?」
忍野「真矢は?」
堂本「アタシ?...こう見えても、虐められてた」
忍野・橘『「嘘...」』
堂本「小学生の時、針金って言われてて、でね?学校の帰り道に格闘技のジムがあって外から見てたら声掛けられた」
忍野「そうなんだ...」
真矢にそんな過去があったなんて知らなかった
吉村「えぇー、マジっすか!?」
私の耳に届いたのは大袈裟に驚く吉村くんの声と続けて伊佐木さんの声だった
伊佐木「総代だったんですか...ってことは成績トップ?」
吉村「ならなら?卒業の時?代表で?答辞を?」
田澤「読ませていただきました」
吉村「うわぁ」
へぇ、田澤副教官って頭良かったんだ...いや、悪そうには見えないけど
田澤「そんなことよりクイズね?ここの焼き魚が美味しいのは何ででしょうか?」
吉村くんが元気よく挙手をしたけれど副教官は無視して比嘉くんを指名した
比嘉「いや、確かに美味しいですけど...」
吉村「考えたことなかった...ねぇ、わかる?」
杣「さぁ」
いや杣くん冷たっ
伊佐木「芹沢さん達は?わかる?」
芹沢「ん?さぁ、なんでしょうね」
いや、芹沢くんに聞いてるんだよ!
寺里「俺はー」
伊佐木「優希くんの意見は聞きません」
寺里「えー!」
寺里くん可哀想……
またもや吉村くんが挙手をするも副教官は答えを教えた
田澤「厨房を家宅捜索したのね?
そしたら、業務用の両面焼きじゃなく片面オーブンでおばちゃんが丁寧に焼いてたの。
だから臭みが抜けて美味しいの」
へぇ、知らなかった...
橘「明日は魚にしよ」
堂本「花恋ー?」
橘「はい、お肉にします!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!