あなた「…私……」
家入「起きた?」
あなた「硝子…?」
戻ってきたのかな…
家入「そう。寝てる間すごい泣いてたけどどうした?」
あなた「…夢の中で夏油に会った。みんなで大人になってた。学生のころと変わらずに夜更かしして、笑ってた……そんなことありえないのに…」
家入「言ってたね、あなた。みんなで教師になりたいって」
あなた「叶わなかった……私ずっと後悔してる…あのとき無理矢理にでも夏油の本音を聞けてたら、相談に乗れてたらって…もう、遅いのに…ッ」
家入「まだ万全じゃないんだから落ち着いて」
あなた「ごめん…」
家入「ほら涙拭いて。お見舞い品たくさん来てるよ」
あなた「…誰から?」
家入「1年3人と五条と学長と任務先のバレー部」
あなた「音駒高校かな…」
家入「多分そう。花束は全部五条からだよ」
あなた「変なところ律儀だよね…」
家入「だね。コーヒー飲む?」
あなた「飲む…煙草吸っていい?」
家入「禁煙者の前で吸う?」
あなた「うん…」
家入「はぁ…好きにしな」
あなた「ありがとう。お花の名前わかる?」
家入「黄色いのがマリーゴールド、それからペニチュア、ポーチュラカ。花言葉で選んだっぽいね」
あなた「花言葉は知らないけど、赤色のお花がお見舞いの品にあんまり良くないのは知らないのかな」
家入「五条が気にすると思う?」
あなた「確かに…花言葉は気にするのにね」
家入「訳の分からんやつだよ」
あなた「本当に笑」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。