第5話

ブログ5
499
2021/09/09 12:00
次の日、あのブログが気になって仕方がなかった俺はいつにも増して素早く仕事を終えていつもよりかなり早く上がった。急に仕事を任されなくて助かった。



家に帰った俺はすぐにパソコンを開いてブログの続きを読んだ。



あなたはよく笑う女の子だった。

でも今はずっと暗い顔をしてる。

今日は話しかけてもあんまり反応がない。

でも、うれしいこともあった。

あなたがひさしぶりに絵を描いてくれた。

真剣に花を見ながら一生懸命描いてた。

絵を描いてるときだけは

前のあなたに戻ったみたい。

ジョナサン



次のブログ。



今日もあなたは窓の外を見つめて

「誰かが見てる」ってずっとつぶやいてた。

最近、あなたがあなたじゃないみたいに思える。

くだらないおしゃべりをして

一緒にテレビを見て笑ってたあなたは

どこにいっちゃったの…

でも、僕が強くならなきゃ。

弱音吐いてる場合じゃない!

ジョナサン



その後も読み続けて、また次のブログ。



もう0時過ぎちゃった。

あなたが寝付けないみたいだったから

足をマッサージしていました。

あなたの足は細くて冷たかった。

だいぶ痩せたね。

涙が出ちゃった。

今日(昨日?)のあなたの絵。

最近、あなたは毎日絵を描いてる。

おしゃべりできなくなったぶん

絵で何かを伝えようとしてるんだと思う。

ジョナサン



そして、また別の日のブログ。



僕のことを見ても

誰か分からないみたいで

不思議そうにながめてた。

いつか僕のことを

完全に忘れちゃうかもしれない

最近思う

あなたの中からあなたが消えかかってる。

僕のことを愛してくれたあなたは

もうすぐ消えてしまう

そんな予感…


ジョナサン



あなたさんの病状は悪化するばかりであった。それでも献身的に看病するあたりジョジョらしい。しかし俺はそれでも腑に落ちなかった。



ジョジョの言葉が気になるのだ。調べたところ、そう言った精神疾患は病院に行って治療を受ければ治るらしいではないか。だのに何故あたかも「もう2度と治らない不治の病」であるかのように言っているのだろうか。



気になったので前のブログを読み返したが、やはり「病院に行った」と言う類の記録は全く無かった。確かに精神科とか言う所は行きづらいイメージがあるだろう。



きっとジョジョは自己判断で「もう治らない」と決め付けたのではなかろうか。俺はまだ時間があるしジョジョに電話してあなたさんを病院に連れて行くよう言ってみることにした。

プリ小説オーディオドラマ