第26話

散り散り
9,630
2021/01/12 15:34


叫び声が聞こえた方へ走っていると、突然黒い霧に体を包まれた。
『!?クソッ、ここは!??』
風が吹いてひやりとした冷気が頬を撫でる。
『(あれ、ここ寒い……)』
辺りを見渡すと、建物の中に飛ばされたようだ。
氷が地面を覆っていて、すぐにこの場に誰がいるのか理解ができた。
轟焦凍だ。
『………!!』
視界の端に黒い靄が見えて途端に私は走り出した。




轟「散らして殺す…か。言っちゃ悪いがあんたらどう見ても個性を持て余した輩以上には見受けられねぇよ」
【土砂ゾーン】
「コイツ…!移動してきた途端に…本当にガキかよ…いっててて…」
轟「(オールマイトを殺す…初見じゃ精鋭を揃え数で圧倒するのかと思ってたが)」
『頭を下げて轟!!!』
後ろからなるべく低く頭を押し付けて、地面から飛び出てきた鬼の頚を斬った。
轟「…あなたの名字…!?」
「…え、こ、こいつ、人を殺しやがった…!!」
『は?』
轟に氷漬けにされた敵が目を丸く見開いて呟いた。
『鬼だっての!』
「鬼なんていねぇよ!お前は今人の首を……」
『だから鬼だって言ってんでしょ。何?アンタも同じふうになる?』
「ヒイッ……!!」
轟「…首を切ったって…」
轟が驚いた顔をしている。
『…この件が終わったらちゃんとみんなに説明するから。あと、決して人殺しじゃない』
人殺しと言われるのはまあ、間違ってはいない。
でも、鬼になった人を楽にしてあげる方法は頚斬ってあげるしかないのだ。
それにああいう自我のない鬼は話しかけたって無駄なことはとっくにわかりきっている。
轟「………そうか」
轟は何も言わずに頷いてくれた。
『ありがとう。……ここの方にもう鬼の気配は無いから、私はここじゃない所に行く。気をつけて』
轟「あっ……おい!………は?」
轟が振り返ると、もうそこにあなたの姿は無かった。
轟「(相変わらず速い……それにしても、なんだったんだ?あの敵…)」




『(轟がいた場所から少し離れただけなのに、こんなに鬼の量が…!!)』
土砂ゾーンの建物内に、の様な鬼がうじゃうじゃといる。
『くそ………一体誰がこんなに鬼を生成してるんだ』





?「おや…また会えましたね」
『っ!?』

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